花図鑑 (薬師丸ひろ子のアルバム)

アルバム『花図鑑』について

薬師丸ひろ子の3枚目のスタジオアルバム『花図鑑』は、1986年6月に東芝EMIから発売されました。このアルバムは、全10曲が収録されており、漢字3文字シリーズの一環として楽しめる内容です。ジャケットや歌詞カードには著名な写真家・篠山紀信による美しい画像が使用されています。

背景

『花図鑑』は、先にリリースされた『古今集』や『夢十話』と並ぶ作品で、全楽曲の歌詞は作詞家でありプロデューサーでもある松本隆の書き下ろしとなっており、アルバム全体が花をテーマに構成されています。この独特のコンセプトは、松本と薬師丸の二人が共に話し合い、決めたものです。参加する作曲家にはモーツァルトをはじめ、筒美京平、井上陽水、中田喜直、細野晴臣が名を連ねています。

内容

特に注目すべきは、アルバムの冒頭に位置する「花のささやき」です。モーツァルトの作品に松本が歌詞をつけたこの曲は、クラシック音楽とポップスの融合を成功させ、薬師丸の独特な声質が新たな感覚を生み出します。アルバムの全体的な流れとしては、クラシックから始まり、最後は童謡で締めくくる構成が特徴的です。薬師丸自身も「紫の花火」という楽曲を提供しており、作品に個性を加えています。

加えて、中田喜直による「寒椿、咲いた」と「かぐやの里」の2曲は、彼が生み出した童謡の雰囲気を持ちながらも、独自の雅楽調のメロディを呈しています。「かぐやの里」は特に淡い繊細さを感じる日本的な楽曲であり、耳に残る印象を与えます。これらの曲は、松本が中田と偶然に出会ったことから生まれたとも伝えられています。

リリースと再発

『花図鑑』のリリースから数か月後、1986年12月にはベスト・アルバム『薬師丸ひろ子 ベスト・コレクション』も発売され、その後、1997年にはEMIミュージック・ジャパンから再発売されました。また、2014年にはユニバーサルミュージックから高音質SHM-CDとして再度リリースされました。これにより、新たな世代のファンにもその魅力が再認識されています。

チャート成績

このアルバムは、オリコンチャートで最高2位を記録し、LP、CT、CD合算で17.9万枚の売上を達成しています。その人気と評価は衰えることなく、発表から数十年経った今でも多くの人に愛されています。

収録曲

全体を通して、アルバム独自の世界観が広がっており、リスナーに深い感動を与えています。特に「100粒の涙」と「紅い花、青い花」の2曲は、後のベストアルバムに収録され、永続的な名曲として親しまれています。

薬師丸ひろ子の『花図鑑』は、花をモチーフにした詩的かつ感情豊かな楽曲の数々が魅力で、彼女の音楽的才能を存分に発揮した作品となっています。

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