花子と寓話のテラー

『花子と寓話のテラー』は、えすのサカエによって描かれた漫画作品で、「月刊少年エース」（角川書店）にて連載されていました。都市伝説をモチーフにした独特な世界観と、予測不能なストーリー展開が魅力です。単行本は全4巻で、2011年には新装版全3巻が刊行されました。

あらすじ

本作の舞台は、都市伝説が現実と交錯する世界。人々は都市伝説を信じるあまり、「話」に取り憑かれてしまいます。物語の中で不思議な力を持つ物語は「寓話」と呼ばれ、それに取り憑かれた者は「寓話憑き」として恐れられています。

物語は、ベッドの下の男に悩まされる少女、平沼カナエが、亜想探偵事務所を訪れるところから始まります。所長の亜想大介は、「100回しゃっくりをすると死ぬ」という寓話と「トイレの花子さん」の寓話に憑かれた「寓話憑き」であり、同時に「寓話」を退治する「寓話探偵」でもありました。

亜想に命を救われたカナエは、依頼料を払えない代わりに、亜想探偵事務所で働くことになります。亜想、カナエ、そして亜想に憑りついた寓話「花子」の3人は、次々と現れる寓話絡みの事件に立ち向かっていくことになります。

登場人物

亜想探偵事務所

亜想大介（あそうだいすけ）
本作の主人公。二つの寓話に憑りつかれた寓話探偵であり、元刑事。「100回しゃっくりをすると死ぬ」という寓話に憑かれており、寓話の気を感じるとしゃっくりが止まらなくなります。また、現実を寓話に捻じ曲げる能力を持ちますが、使用しすぎると自身も寓話として取り込まれてしまう危険な一面も持っています。
平沼カナエ（ひらぬまカナエ）
「ベッドの下の男」の寓話を亜想に退治してもらったことがきっかけで、亜想探偵事務所で働くことになった少女。自身も寓話に憑かれやすい「寓話体質」であり、無自覚に様々な寓話を呼び寄せてしまいます。
花子（はなこ）
亜想に憑りついているトイレの花子さんの寓話。機械を弄るのが趣味で、対寓話用のプログラムを開発しています。動物が嫌いで、トイレのある場所なら自由に移動できます。その正体は、亜想の少年時代の闘病仲間であり、彼を支えた幼馴染の少女「春野花子（はるのはなこ）」でした。亜想を護るため、自ら寓話として彼の側にいることを決意します。

寓話及び寓話関係者

ベッドの下の男
カナエに取り憑いていた寓話。亜想によって退治されます。
西野良一（にしのりょういち）
口裂け女の回に登場。彼女のサチが口裂け女ではないかと疑い、亜想探偵事務所を訪れます。
大上サチ（おおがみサチ）
口裂け女の回に登場。生まれつき大きな口がコンプレックスで、口裂け女の寓話に取り憑かれてしまいます。
柴山（しばやま）
刑事。元刑事である亜想とは旧知の仲で、警察が動けない寓話絡みの事件を依頼します。
水無曜介（みずなしようすけ）
人面魚の回に登場。修学旅行のバス事故で唯一生き残った少年。クラスメイトからのいじめが原因で、助けてくれた宮田に歪んだ感情を抱いてしまいます。
宮田早苗（みやたさなえ）
人面魚の回に登場。水無のクラスの委員長でした。
人面魚
人面魚の回に登場。その正体は、寓話と化した水無をいじめていた同級生たちです。
合わせ鏡の悪魔
合わせ鏡の悪魔の回に登場した寓話。「スーパーアイドルになりたい」と願ったカナエの魂を奪おうとします。
淵ノ辺ユリ（ふちのべユリ）
テケテケの回に登場。連続少女踏切事件の当事者として、亜想探偵事務所を訪れますが、悲劇的な運命を辿ります。
小田切キリエ（おだぎりキリエ）
テケテケの回に登場。重病により余命わずかな少女。
平沼ちえり（ひらぬまちえり）
ピアスの穴と白い糸の回に登場。カナエのいとこで、不仲な両親を見て心を閉ざしています。
鬼頭コックリ（きとうコックリ）
コックリさんの回に登場。複数存在し、圧倒的な予測能力で亜想を追い詰めます。
大原マナブ（おおはらマナブ）
隙間女の回に登場。15年間引きこもっていました。
ケイコ
隙間女の回に登場。マナブの初恋の人でしたが、現在は離婚歴のある2児の母です。
カナエの祖父
メリーさんの回に登場。
桐生（きりゅう）
メリーさんの回に登場。カナエの祖父に雇われた医師。その正体は、亜想が変装した姿でした。
平沼ノゾミ（ひらぬまノゾミ）
メリーさんの回に登場。カナエの双子の妹ですが、生まれてくることができませんでした。
* 橘真冬（たちばなまふゆ）
亜想たちを陰から監視する謎の女性。『花子と寓話のテラー』の作者を名乗っています。

花子と寓話の未来日記

『花子と寓話のテラー』と、えすのサカエの次作『未来日記』とのクロスオーバー作品。『未来日記』の主人公・天野雪輝が、我妻由乃の件で亜想探偵事務所に相談に訪れるというストーリーです。

書籍情報

角川コミックス・エースレーベルより発売。作者の次作『未来日記』のアニメ化に際して完全版が刊行され、単行本版は絶版となっています。

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