花屋敷駅

花屋敷駅の概要

花屋敷駅（はなやしきえき）は、兵庫県川西市の寺畑地域に位置した京阪神急行電鉄（現在は阪急電鉄）の宝塚本線の駅であり、1980年代に廃止されるまで多くの人々に利用されていました。この駅は1910年に宝塚本線の開業と同時に設立され、当時の駅名は開発を行った東塚一吉が1890年代に設立した花屋敷温泉に由来しています。駅の立地は現在の川西市内においては隣に位置する能勢口駅（現在の川西能勢口駅）よりも早い開業となりました。

日本無軌道電車の導入

1928年には、田中数之助により開発された新花屋敷温泉へのアクセス方法として、日本初のトロリーバス路線である日本無軌道電車が開業し、その起点が花屋敷駅に設けられました。この無軌道電車は花屋敷駅の北方約50メートルの地点に停留所を持ち、車両を方向転換するためのターンテーブルが設置されていました。しかし、営業不振によりこの無軌道電車はわずか4年ほどでその運行を終了しました。

駅の変遷と統合問題

1916年には、近隣の雲雀丘駅が開業し、両駅は非常に近接していたため、戦後に京阪神急行電鉄は両駅の統合を検討し始めました。その際、駅周辺の安全面や利便性に関する懸念が顕在化しました。住民たちは新駅の設置による不便さや地価の下落、商店への悪影響を訴え、統合に強く反対しました。1959年には市議会が駅の統合に同意しましたが、住民の反対運動は収まらず、行政や企業との対話が続けられました。1960年には運輸省に対する請願運動にまで発展しました。

存続と廃止

その結果、1960年9月に双方が花屋敷駅を存続させる方向で合意し、新駅開業後もそれまで存続していた特殊な運用が続くこととなりました。しかし、1961年には雲雀丘花屋敷駅が開業し、その影響で花屋敷駅での急行や大型車両には停車しなくなりました。最終的に花屋敷駅は1962年5月1日をもって正式に廃止されました。

駅の構造と周辺

花屋敷駅は地上に位置する相対式ホーム2面2線を持っており、宝塚本線の他の駅に比べてホームの有効長は短いものでした。周囲には満願寺などの名所も存在していましたが、交通の便が悪化する中で利用者は減少し、駅の存続が困難になる要因となったのでしょう。

まとめ

現在となっては廃駅となった花屋敷駅ですが、その歴史は地域の交通発展と住民の意志による変遷を反映した重要な地点であったと言えます。多くの人々にとって思い出深い場所であったこの駅の存在は、地域の歴史の一部として今もなお語り継がれています。

もう一度検索