花王スターチ

花王スターチは、1964年に花王石鹸（現：花王）から発売された洗濯糊です。

概要

洗濯糊は、洗濯後の衣類にハリとコシを与えるための仕上げ剤の一つです。従来は、天然の澱粉を原料とした澱粉糊が主流でしたが、花王スターチは、これに代わる画期的な製品として、初めて合成糊を採用しました。

特徴

花王スターチは、白い乳液状の液体で、洗濯時に水に溶かして使用します。従来の澱粉糊に比べて、以下のような特徴がありました。

仕上がりの良さ: 衣類に均一に糊付けされ、ゴワつきがなく、なめらかで自然な風合いに仕上がります。
使いやすさ: 水に溶けやすく、洗濯機での使用も可能です。また、澱粉糊のように煮沸する必要がないため、手軽に使用できます。
* 防腐効果: 澱粉糊に比べて腐敗しにくく、長期保存が可能です。

これらの特徴から、花王スターチは発売当初から人気を集め、家庭用洗濯糊市場において大きなシェアを獲得しました。

競合製品の登場とキーピングへの改名

花王スターチの成功を受けて、1966年6月にはライオン（当時はライオン油脂）が液体洗濯糊「ライオンハイスターチ」を発売し、市場競争が激化しました。花王は、類似商号対策と競争に対抗するため、1ヶ月後の1966年7月に製品名を「キーピング」と改名して再発売しました。

この時期は、ライオンが仕上げ剤トリオ（塩素系漂白剤・柔軟剤・洗濯糊）を積極的に展開していた時期であり、花王もこれに対抗して仕上げ剤のラインナップを強化しました。その一環として、花王スターチの改名が行われたのです。

その後

液体洗濯糊を含む仕上げ剤トリオの競争は、最終的に花王に軍配が上がりました。キーピングは、その後も改良を重ねながら、長年にわたって多くの家庭で愛用されています。

花王スターチ（キーピング）の登場は、洗濯糊の歴史における大きな転換点となりました。合成糊の普及を促進し、洗濯文化の発展に貢献したと言えるでしょう。

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