芳志戸幹雄

芳志戸幹雄：情感豊かな音色で魅せたギタリスト

芳志戸幹雄（ほうしど みきお）は、1947年生まれ、1996年に49歳で亡くなった日本のギタリストです。クラシックギターの演奏家として、その短い生涯の中で数多くの功績を残しました。

若き日の研鑽とデビュー

芳志戸は、ギターを三木理雄、小原安正といった国内の指導者や、ナルシソ・イエペス、アンドレス・セゴビアといった海外の名手に師事しました。また、ピアノも林芳輝、山岸磨夫に学んでいます。1968年にはデビュー・リサイタルを開き、その才能を早くから開花させました。同年には上智大学文学部哲学科を中退し、スペインへ留学。サンティアゴ・デ・コンポステーラ国際音楽講習会に奨学生として参加し、アンドレス・セゴビアのマスタークラスを受講しました。

同世代の音楽家たちとの交流

1970年代には、荘村清志、渡辺範彦と並んで「1947年生まれの三羽烏」と呼ばれ、クラシックギター界を牽引しました。現代音楽の分野では、ピッツィーニの「三姉妹のためのギター協奏曲」を日本で初演し、高い評価を得ました。また、中世音楽にも深く精通していたことでも知られています。武満徹や三善晃といった作曲家との交流も深く、彼らの作品にも積極的に取り組みました。

独自の音楽性と評価

芳志戸の演奏は、その高い技術力に加え、独特の温かい音色と感情豊かな表現が特徴でした。他のギタリストとは一線を画すその音楽性は、日本国内だけでなく海外でも高く評価されました。ピアニストの三舩優子は彼の姪にあたります。

主な功績

1968年：ギタリストとしてデビュー
1969年：ヨーロッパ各地でリサイタルを開催
1974年：ピッツィーニの「三姉妹の為のギター協奏曲」を日本初演
1976年：NHK教育テレビ「ギターを弾こう」の講師を務める
1977年：スペイン文化省に招待され渡西。ナルシソ・イエペスのレッスンを受ける
1977年：武満徹の要請でパリの芸術祭「パリの秋」に出演
1979年：芸術祭優秀賞を受賞

レコード・CD

クラシックギター入門
カルカッシ25の練習曲
Favorite Show peaces of Guitar
芳志戸幹雄 Plays the Music of Renaissance & Contemporary
リュート組曲No.3(J.S.バッハ)／聖母マリア頌歌集(アルフォンソ10世)
「黒の星座」〜三善晃：ギターのための作品／芳志戸幹雄

テレビ出演

私の音楽会 第186回（1980年）- ピッツィーニの『三姉妹のためのギター協奏曲』とロドリーゴの『アランフェス協奏曲』を演奏
* ナルシーソ・イエペスの世界（1984年） - ゲスト出演

芳志戸幹雄は、早逝しましたが、その音楽は今もなお多くの人々に愛され続けています。

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