芳賀ゆい

芳賀ゆい：ラジオから生まれた虚構のアイドル

芳賀ゆいは、1989年に伊集院光のオールナイトニッポンから誕生した架空のアイドルです。伊集院光がプロデュースし、ラジオ、グラビア、歌手活動など、多岐にわたる活動を展開しました。

誕生の背景

企画の発端は、伊集院光の「大島渚ってアイドルに付けるべき名前」という発言でした。リスナーからの反響を受け、「はがゆい」という言葉をアイドル名にするアイデアが生まれ、架空のデビュー曲の募集へと発展。リスナーからのハガキを基に、人物像や背景が徐々に形成されました。

リスナーが考えたプロフィールやイラストが番組で紹介され、選考されることで、芳賀ゆいの公式設定が作られていきました。既存のアイドル像への不満から、「架空のアイドルを作り上げてしまえ」という発想が生まれ、リスナーと共にアイドルを作り上げるという連帯感が、企画の原動力となりました。

ベールに包まれた存在

芳賀ゆいは、理想のアイドル像を守るため、素顔を公開せず、複数の人間が実体を担当しました。サイン会に複数の人物が現れたり、メディア露出時に素顔を隠したりすることで、「覆面アイドル」や「未確認アイドル」として扱われました。

外見を複数の人物が担当するという点は、ラジオというメディアの特性を逆手に取った戦略でした。リスナーにビジュアルイメージを委ねることで、より純化された偶像としてのアイドル像が確立されました。

企画の終焉

マスメディアでの露出が増えるにつれ、企画は終焉へと向かいました。「ひとときの祭りのような形で完結させたい」という意見が多く、リスナーから募集したアイデアを基に、芸能活動休業と留学という形で幕を閉じました。

写真週刊誌に伊集院光との密会現場とされるツーショット写真を掲載したり、見送りのイベントを開催したりするなど、最後まで虚構のアイドルとしての演出にこだわりました。

プロフィール

本名：樋口麻紀子
誕生日：1974年4月15日
出身地：兵庫県神戸市
身長：158cm
体重：44kg
血液型：O型
家族構成：父、母、姉、弟、猫
実家：パン屋「HIGUCHIベーカリー」

作品

シングルCD：星空のパスポート
ビデオ：はがゆい伝説
* 写真集：う・そ・つ・き

影響

芳賀ゆいの現象は、日本国外にも伝えられ、ウィリアム・ギブスンの小説『あいどる』に影響を与えたと言われています。また、ホリプロの堀義貴がバーチャルアイドル「伊達杏子」を手がけるきっかけにもなりました。

芳賀ゆいは、ラジオから生まれた架空のアイドルという異色の存在でありながら、その斬新な企画は、バーチャルアイドルの先駆けとして、後の作品に大きな影響を与えました。虚構と現実が交錯する世界観は、多くのリスナーを魅了し、伝説的な存在として語り継がれています。

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