苑田右二

苑田右二（そのだ ゆうじ、1973年7月5日生）は、大阪府枚方市出身の元ラグビー選手、および指導者です。現役時代のポジションはスクラムハーフ（SH）。日本代表としても国際舞台で活躍し、キャップ数は18を数えます。ニックネームはSON（ソン）として親しまれました。

少年時代には野球に打ち込んでいましたが、枚方市立第三中学校の2年生時にラグビーへ転向し、競技キャリアをスタートさせました。当初はセンター（CTB）としてプレーしていましたが、ラグビー強豪校である啓光学園高校（現・常翔啓光学園高校）に進学後、2年生からはスクラムハーフにポジションを変更します。3年生時には、チームのキープレーヤーとして全国高校ラグビーフットボール大会（花園）での優勝に大きく貢献し、そのパフォーマンスが評価され高校日本代表にも選出されました。

法政大学に進学後も、その才能は開花し続けました。1年生から即戦力としてレギュラーに定着し、全国大学ラグビーフットボール選手権大会では、1年次にチームを優勝へと導き、2年次には準優勝を果たしました。4年生時にはチームのキャプテンとしてリーダーシップを発揮し、大学在学中には学生日本代表にも選ばれるなど、学生ラグビー界を代表する選手の一人となりました。

大学卒業後は、国内ラグビー界のトップチームの一つである神戸製鋼に入社します。しかし、プロとしてのキャリアの初期は順風満帆ではありませんでした。入社から最初の3年間は、左手首の骨折や左膝の内側靭帯損傷など、度重なる怪我に悩まされる不運に見舞われます。さらに、当時チームの正スクラムハーフには日本代表で不動の地位を築いていた堀越正巳がおり、怪我とポジション争いの両面で厳しい状況が続き、なかなか試合出場の機会を得られない時期を過ごしました。

転機が訪れたのは1999年度シーズンです。前シーズンをもって堀越がチームを退団したことを受け、苑田は空席となった正スクラムハーフのポジションを掴み、チームの中心選手として目覚ましい活躍を見せました。このシーズン、神戸製鋼は全国社会人ラグビーフットボール大会と日本ラグビーフットボール選手権大会の両タイトルを獲得し、苑田はその快挙に大きく貢献しました。その後もチームの主力として活躍し、2002年度シーズンにはチームキャプテンも務め、精神的支柱としてもチームを支えました。

国際舞台においては、日本代表として通算18キャップを獲得。特に、キャリアのハイライトの一つとして、2003年にオーストラリアで開催されたラグビーワールドカップにも出場し、世界の強豪相手に堂々たるプレーを見せました。

選手キャリアの終盤となる2009-10シーズンは、選手としてのプレーに加え、コーチも兼任しました。このシーズンを最後に現役を引退すると、翌2010-11シーズンからは、長年慣れ親しんだ神戸製鋼コベルコスティーラーズのヘッドコーチに就任し、チームの指揮官として新たな役割を担いました。ヘッドコーチとしては2013-14シーズン終了をもって一度チームを離れます。

指導者としての活動はそこで終わりませんでした。2016年には、自身の学生時代の礎を築いた母校である法政大学ラグビー部のヘッドコーチに就任。学生ラグビーの舞台で、自身の豊富な経験と知識を活かし、若手選手の育成とチーム強化に情熱を注いでいます。

苑田右二氏は、選手としては卓越したパススキルと的確なゲームメイク能力でチームを牽引し、指導者としても長年の経験で培った手腕を発揮して後進の育成に努めるなど、選手そして指導者として日本ラグビー界の発展に多大な貢献をしている人物です。

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