若い宇和島

若い宇和島

「若い宇和島」とは、愛媛県宇和島市によって制定された市民歌です。この歌は、1950年11月に行われた市制30周年の記念式典に合わせて作られ、作詞は松影マサ子、作曲は西山道貞によるものです。その際に、同時に選定されたのが市民音頭「うわじま音頭」であり、こちらの作詞は国村三郎、作曲は杵屋勝世です。

制定の背景と内容

市民歌の歌詞は公募され、選ばれた作品は市民音頭とともに式典で発表されました。この式典では、「市制実施30周年祝賀の歌」としてさらに国村三郎が作詞した楽曲が小学校の児童たちによって合唱され、市民の祝賀イベントとしての盛り上がりを見せました。また、当時、タイヘイレコードによって藤島桓夫の歌唱によるレコードも製作され、「若い宇和島」がA面、「うわじま音頭」がB面に収録されています。

「若い宇和島」は全4番からなり、内容は宇和島城が時代を経て市民の財産となったことを祝う歌詞から始まります。次に、外堀や海の埋め立てによる市域の拡大について触れ、最後の4番では戦後復興への決意を表明しています。こうした歌に合わせて振付も考案され、地域の文化として広まりました。1974年に発行された『愛媛の観光』では、この曲が「郷土芸能」として紹介されるなど、長年にわたり愛されてきました。

変遷と新市民音頭

「若い宇和島」と「うわじま音頭」は、1960年に公開された日活映画『南海の狼火』において小林旭によってカバーされ、以降の記録では、「宇和島音頭」と漢字表記が定着しました。この際の書き方の違いや、1970年に新しく作成された市民音頭「宇和島おんど」なども影響し、演奏機会が少なくなってしまいました。

1988年から毎年開催される「うわじまガイヤカーニバル」では、宇崎竜童が作詞・作曲したテーマソング「GAIYA ON THE ROAD」が演奏され、地域の音楽文化の一部となっています。

合併後の位置付け

2005年、宇和島市は周辺の町と合併し、新たな宇和島市が発足しました。地方自治法に従い、合併時には旧市町の歌が失効する可能性がありましたが、合併協議会で「旧市町の歌はそのまま存続する」という合意が成立しました。この結果、「若い宇和島」は新市に引き継がれることになりました。

市長として在任中の石橋寛久氏は、合併後に市歌の制定を課題として掲げていましたが、市民たちが旧市民音頭の「うわじま音頭」の復活を呼びかけて活動していることも注目されています。このように、「若い宇和島」はこれからも地域の歴史と文化を代表する楽曲として多くの人々に親しまれ続けることでしょう。

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