若い東京の屋根の下

若い東京の屋根の下

『若い東京の屋根の下』（わかいとうきょうのやねのした）は、1963年4月20日にビクターからリリースされた橋幸夫の34枚目のシングルです。この曲は、吉永小百合とのデュエットによる作品であり、前年の「いつでも夢を」に続くものであります。また、同曲は映画『若い東京の屋根の下』の主題歌としても知られています。

曲の背景

橋幸夫は、前作「いつでも夢を」での成功を受けて、新たにデュエット曲を制作しました。「いつでも夢を」は、第4回日本レコード大賞を受賞し、その人気は衰えを知らず、リリースから間もなく100万枚の大ヒットを記録しました。橋はこのコンビネーションを「夢のコンビ」と呼び、吉永小百合と共に新たな楽曲に挑戦しました。

本曲の作詞を手掛けたのは佐伯孝夫で、作曲は吉田正が担当しました。この2人は橋の恩師でもあり、前作と同様に彼らのタッグによる楽曲です。佐伯は、戦後すぐに「東京の屋根の下」というタイトルの楽曲を作詞しており、服部良一が作曲、灰田勝彦が歌った楽曲が当時のヒットとなりました。『若い東京の屋根の下』は、その流れを汲みながら新たに生まれた続編とも言えます。

レコードの仕様

『若い東京の屋根の下』は、モノラル盤とステレオ盤の2種類が同時に販売され、ジャケットデザインは同一ながら規格番号は異なり、ステレオ盤には「LIVING STEREO」の表示がありました。モノラル盤は290円、ステレオ盤は330円で販売され、価格差も影響してか流通は少なめでした。歌詞について評論家の小野善太郎は、オリンピック前の古き良き東京の雰囲気が漂い、素朴な良さがあると評しています。

橋幸夫のコメント

橋幸夫は本楽曲について、音域が広いことから、吉永小百合にとっては少し難しかったのではないかと回想しています。また、シングルのB面は「夜のブルース」が収録されており、こちらも同じく佐伯が作詞、吉田が作曲を手掛けています。

映画について

この楽曲のヒットは、吉永小百合と浜田光夫を主演とした映画『若い東京の屋根の下』の制作を促しました。映画は1963年7月14日に公開され、上映時間は90分、カラーの作品です。興味深いことに、歌謡映画でありながら原作が存在し、源氏鶏太の小説『緑に匂う花』を基にしています。しかし、橋は金沢公演での暴漢襲撃による負傷の影響で出演を果たせませんでした。

映画のあらすじ

映画は、19歳の桑野蕗子が家族と共に東京での生活を描いています。父が企業を退職し、将来への不安を抱える中、蕗子は兄姉たちに相談しますが、その中でさまざまな問題を抱えることになります。蕗子は新しく下宿することになった大学生・三上良平との衝突も経験しつつ、家庭内での様々な出来事や恋愛模様を描いています。彼女の家族間の関係や、友人との関わり、成長していく姿が物語の中心に据えられていきます。

映画は、最後に蕗子と良平の恋愛が描かれ、心温まる結末を迎えます。このように、『若い東京の屋根の下』はシングルとしても映画としても、当時の多くの人々に愛される作品となりました。

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