若井彌一

若井 彌一

若井 彌一（わかい やいち）は、1947年に新潟県で生まれた、日本の教育行政学者です。長年にわたり、教育行政に関する理論と実践の両面から研究を深め、教育大学や私立大学において要職を歴任してきました。現在は上越教育大学の名誉教授であり、仙台大学では教授および統括副学長を務めています。

経歴

若井氏の学究生活は、東北大学大学院教育学研究科教育行政学専攻から始まりました。1973年に同博士課程を退学後、東北大学の助手としてキャリアをスタートさせます。その後、仙台大学に移り、講師、さらに助教授として教鞭をとりました。教育行政学の専門家としての経験を積んだ後、国立の上越教育大学に転じ、助教授、そして教授へと昇任しました。上越教育大学では、附属図書館長も務めるなど、大学運営にも深く関与します。2009年には同大学の学長に就任し、2013年に退任するまで、大学の発展と教育研究の推進にリーダーシップを発揮しました。学長退任後、上越教育大学名誉教授の称号を授与されます。その後、再び仙台大学に迎えられ、教授として教育に携わるとともに、大学全体の運営を司る統括副学長という重要な役職に就いています。

研究分野と業績

若井氏の主要な研究分野は、教育行政、特に教育法規、教員の人事行政、学校経営、教員養成・免許・採用・研修など多岐にわたります。これらの分野において、理論的な探求と実務に即した分析を行い、多数の研究成果を発表してきました。学術論文はCiniiなどのデータベースで広く参照可能であり、その研究活動の活発さを示しています。

また、教育行政学および関連分野における重要な著作や共編著を多数刊行しており、教育関係者や研究者にとって不可欠な文献となっています。代表的な著書としては、教育法規の理論と実践を体系的にまとめた『教育法規の理論と実践』（樹村房、1995年）や、長年の研究成果を集成した『若井彌一著作集』（全5巻、協同出版、2011年-2013年、結城忠、廣瀬裕一、佐々木幸寿編）があります。

共編著も多く、以下のような重要な書籍を世に送り出しています。

『教育行政と学校・教師』（玉川大学出版部、1986年）- 高橋靖直、牛渡淳との共著。
『教員の人事行政 日本と諸外国』（ぎょうせい、1992年）- 佐藤全との共編著。
『要説教職専門』（金港堂出版部、補訂第5刷、1996年）- 皇晃之との共編著。
『教員試験受験相談 免許取得から採用まで』（協同出版、改訂、1998年）- 編著。
『必携学校小六法』（協同出版、2004年）- 下村哲夫、杉原誠四郎監修、葉養正明、結城忠との共編。
『学校経営の刷新 教育新時代の学校経営 論点演習』（教育開発研究所、2005年）- 菱村幸彦、小松郁夫との共編著。
『設例教育法規演習』（教育開発研究所、全訂新版、2005年）- 下村哲夫との共著。
『教員の養成・免許・採用・研修』（教育開発研究所、2008年）- 編著。
* 『必携教職六法』（協同出版、2013年）- 河野和清、高見茂、結城忠編集委員、監修。

これらの著作は、教育法の解釈、教員の専門性や研修のあり方、学校の運営体制など、教育現場が直面する具体的な課題に対する理論的基盤と実践的指針を提供しており、教育学の研究と実務の両面に大きな影響を与えています。

現在の活動

上越教育大学名誉教授として後進の指導にあたるとともに、仙台大学の教授および統括副学長として、教育行政学の研究・教育活動を継続し、大学の管理運営においても中心的な役割を担っています。長年の教育行政研究の知見と大学運営の経験を生かし、日本の教育制度の発展に貢献し続けています。

若井彌一氏は、教育行政学における学術的研究と、大学運営における実務経験の両面から、日本の教育界に多大な貢献をしてきた研究者・教育者です。

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