若松機関区

若松機関区

若松機関区は、かつて福岡県北九州市若松区の若松駅に隣接していた機関区（車両基地）です。筑豊本線をはじめとする筑豊炭田の運炭路線において、客貨列車の牽引を担う蒸気機関車が多数配置されていました。

歴史

若松機関区の歴史は、筑豊炭田の隆盛とともに始まりました。

1890年（明治23年）12月：筑豊興業鉄道若松機関庫として開設
1891年（明治24年）8月30日：筑豊興業鉄道、若松駅～直方駅間で開業
1897年（明治30年）10月1日：九州鉄道が筑豊興業鉄道を買収したため、若松機関庫も移管
1907年（明治40年）7月1日：九州鉄道が国有化されたため、若松機関庫も移管
1936年（昭和11年）9月1日：若松機関区に改称
1974年（昭和49年）6月：筑豊本線無煙化により乗務員区になる
1984年（昭和59年）2月：廃止（門司機関区に吸収統合される）

最盛期には、文字通り黒煙を上げながら石炭を満載した貨車を牽引する蒸気機関車で賑わっていました。しかし、エネルギー革命の波には逆らえず、筑豊本線の無煙化に伴い、その役割を終えました。

現在

機関区の廃止後、跡地は「久岐の浜シーサイド」として再開発され、当時の面影はほとんど残っていません。しかし、本区を最終配置区とした9600形19633号機が静態保存されており、その存在がわずかに往時を偲ばせていました。

ところが、長年の風雨に晒され荒廃が進んでいたため、2020年に同機を食品メーカーの山口油屋福太郎へ譲渡する方針が発表されました。同社の福岡県添田町にある工場内に移設される予定とされていますが、2022年2月時点で移設は行われていません。

主な所属車両

若松機関区には、数多くの蒸気機関車が所属していました。主な車両は以下の通りです。

蒸気機関車

2120形 -（在籍1931年）
3100形 -（在籍1931年-1949年）
5700形 -（在籍1931年）
6760形 -（在籍1931年-1941年）
8620形 -（在籍1931年-1974年）
8900形 -（在籍1931年-1933年）
9500形 -（在籍1931年）
9600形 -（在籍1931年-1973年）
C11形 -（在籍1939年-1943年、1949年-1951年）
8550形 -（在籍1947年）
B20形 -（在籍1951年）
D51形 -（在籍1970年-1974年）
230形 -（在籍1953年）
C51形 -（在籍1950年-1963年）
D50形 -（在籍1959年-1971年）
C55形 -（在籍1961年-1974年）
C57形 -（在籍1971年-1972年）
D60形 -（在籍1972年-1974年）

ディーゼル機関車

DB10形（若松検車区・若松工機部入換用）-（在籍1940年-1947年）

これらの機関車たちは、筑豊炭田の石炭輸送を支え、日本の経済発展に大きく貢献しました。

関連項目

日本の車両基地一覧
直方機関区
会津若松運輸区（旧会津若松機関区）

脚注・参考文献

九州の機関区 - ウェイバックマシン（2004年9月2日アーカイブ分）

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