直方機関区

直方機関区：筑豊炭田を支えた機関車の拠点

直方機関区は、かつて福岡県直方市に置かれていた日本貨物鉄道（JR貨物）の機関区です。筑豊本線を中心とした筑豊炭田地域の各路線で運用される機関車が多数所属し、石炭輸送の大動脈を支える重要な役割を担っていました。

歴史

直方機関区の歴史は古く、1891年（明治24年）に筑豊興業鉄道（後の筑豊鉄道、九州鉄道）が直方駅～若松駅間を開業した際に、同社の直方機関庫として開設されたのが始まりです。その後、1907年（明治39年）に鉄道国有化に伴い官設鉄道の直方機関庫となりました。

石炭輸送が最盛期を迎えた時代には、多くの蒸気機関車が配置され、筑豊の各地へと石炭を運んでいました。しかし、エネルギー革命が進み石炭の需要が減少すると、機関区の役割も徐々に変化していきました。

1986年（昭和61年）には車両配置がなくなり乗務員区となり、1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化に伴い、日本貨物鉄道（JR貨物）九州支社直方機関区となりました。そして、1995年（平成7年）に門司機関区に統合され、その歴史に幕を閉じました。

主な所属車両

直方機関区には、様々な種類の機関車が所属していました。

蒸気機関車

3100形
5700形
8620形
8900形
9600形
C50形
8550形
C11形
C12形
6760形
C58形
D50形
1325形
230形
D60形
B20形
D51形

特に9600形は、長きにわたり直方機関区に所属し、筑豊の石炭輸送を支えた代表的な機関車です。また、D51形も晩年には直方機関区に配置され、その力強い姿を見せていました。

ディーゼル機関車

DD13形
DD51形
DE10形

内燃動車

蒸気動車
キハ02形
キハ04形
キハ07形

これらの機関車や車両は、筑豊本線やその他の支線で活躍し、石炭輸送や旅客輸送に貢献しました。

所属車両の略号

直方機関区に所属する車両には、「直」という略号が記されていました。これは、「直方」を意味するもので、所属機関区を示すものでした。

その他

直方機関区に所属していた乗務員の殉職者を追悼する碑が、旧機関区近くの西徳寺境内に建立されています。これは、石炭輸送という危険な仕事に従事した人々の労苦を偲ぶものです。

関連項目

筑豊篠栗鉄道事業部直方運輸センター（旧直方気動車区）
日本の車両基地一覧

直方機関区は、筑豊炭田の隆盛を支えた鉄道の重要な拠点でした。その歴史を振り返ることは、日本の近代化を支えた石炭産業と鉄道の関わりを理解する上で、非常に意義深いものです。

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