若桜鉄道WT3300形気動車

概要

若桜鉄道WT3300形気動車は、2001年に新潟鐵工所で製造された、両運転台式の気動車です。若桜鉄道が開業時に導入したWT2500形の老朽化に伴う更新工事期間中の予備車確保と、イベント対応を主な目的としています。車体はステンレス製で、客用扉は引き戸式を採用、車内には転換クロスシートが設置されています。また、イベントでの利用を考慮し、カラオケ設備が搭載されている点が特徴です。車体中央部には回転式の座席が設けられ、2人掛けの椅子6組を向かい合わせることで、会議スペースとして利用することも可能です。導入にあたっては、日本宝くじ協会の助成を受けており、「宝くじ号」として知られています。通常時は、他の車両と同様に、若桜線やJR因美線に乗り入れて運用されています。

車体

車体はステンレス製で、全長は17,500mmと、WT2500形より500mm短くなっています。乗務員室は左隅式で、正面には貫通扉が設けられています。客用扉は引き戸式で、幅1,000mmに拡幅されたものが片側2箇所に設置され、運転室直後と反対側の車端に配置されています。乗務員扉は設けられていません。扉間には、冷暖房効率向上のための固定式窓が6組設置されていますが、戸袋部分には窓はありません。車体外部はステンレス無塗装で、窓下には赤と青の帯が巻かれ、若桜町のシンボルである鬼の絵が戸袋部に描かれています。

車内には、2人掛けのクロスシートが19脚、計38席設けられています。中央部の左右各1組の座席は回転式、その他の座席は転換式です。若桜方面に向かって左側先頭部の客用扉後部には車椅子スペースが設けられており、この部分は座席が1列少なくなっています。中央部の回転式座席は、2人掛けの椅子6組を向かい合わせることで会議スペースとして利用でき、中央にテーブルを設置することも可能です。イベントでの使用を考慮して、カラオケ設備が搭載されていることも特徴です。

走行装置

エンジンは、新潟鐵工所製のDMF13HZディーゼルエンジン（定格出力243kW/2,000rpm）を1基搭載しており、動力はTACN22-1610液体変速機を介して台車に伝達されます。WT2500形には出力184kWのエンジンが搭載されていましたが、積雪時や冷房使用時の出力不足を解消するため、WT3300形では出力が強化されています。前位側台車は2軸駆動の動台車NP131D-2、後位側は従台車NP131T-2で、いずれも空気ばね式です。制動装置は、在来車両との併結を考慮し、DE1A自動空気ブレーキが採用されています。

空調装置

暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式で、冷房装置は機関直結式、能力36.1kW（31,000kcal/h）のものが1基搭載されています。

車歴

2001年に新潟鐵工所で製造されました。

運用

WT2500形のWT3000形への更新工事に伴う車両不足に対応するために製造されました。イベント対応の設備を備えており、導入に際しては日本宝くじ協会の助成を受けています。イベント時以外は、在来車両と共通で、若桜線郡家駅～若桜駅間、およびJR因美線に乗り入れて郡家駅～鳥取駅間で運用されています。

2016年3月20日からは、若桜線隼駅がスズキ製大型バイク「隼」の愛好者の聖地とされていることから、WT3301に大型バイク「隼」のラッピングを施して運転しています。2016年4月からは、若桜鉄道の全車両が若桜町と八頭町に無償譲渡され、両町が維持費を負担し、若桜鉄道に貸し出す形で運行されています。

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