英霊

英霊（えいれい）とは

「英霊」という言葉は、亡くなった方、特に戦死者の霊を敬意をもって表す際に用いられる言葉です。この意味においては、日本語独特の表現と言えるでしょう。また、優れた才能を持つ人物、いわゆる英才を指す言葉としても使われます。

語源と歴史

「英霊」という言葉は、もともと中国の古典に見られ、優れた才能を持って生まれた人を意味していました。日本では、幕末に藤田東湖の漢詩の一節「英霊未嘗泯／長在天地間」が志士の間で広まりました。

日露戦争以降は、特に国のために命を捧げた人々、靖国神社や護国神社に祀られている戦没将兵を指す言葉として使われるようになりました。これらの戦没者は、かつては「忠魂」や「忠霊」と呼ばれていましたが、「英霊」という言葉がより一般的に使われるようになったのです。

戦没者への意味合い

鉄道省が遺骨移送列車に「英霊」のマークを付けたことからもわかるように、戦没者を「英霊」と呼ぶことは、彼らへの敬意と哀悼の念を表すものでした。

しかし、この言葉は政治的、思想的な論争の対象となることもあります。特に、靖国神社に祀られている戦没者を「英霊」と呼ぶことについては、さまざまな意見があります。この点については、靖国神社問題を詳しく見ていく必要があるでしょう。

「英霊」の概念

「Fallen Soldiers」を「英霊」と訳すことがありますが、生死観や霊魂観には文化的・社会的な差異があります。そのため、それぞれの言語に現れている観念の微妙な違いに注意する必要があります。

また、「英霊」という言葉は、戦死者にのみ使われる特別な用語ではありませんでした。1940年代までは、葬儀の際に故人に語りかける弔辞で「霊魂」のことを「英霊」と呼ぶのが一般的でした。したがって、「英霊」が戦死者にのみ用いられる語であると限定するのは誤解です。

議論

評論家の西部邁は、「英霊」とは「国家に公式的な貢献をして亡くなった者の霊」であると述べています。そして、A級戦犯とされた人々も、国家のために戦った者として「英霊」と呼ぶべきだと主張しました。彼は、東京裁判は「見せしめの政治芝居」であり、A級戦犯とされた人々も「負けを覚悟の偉大な祖国防衛戦争」を戦ったと評価し、彼らの霊を「英霊」として敬うべきだとしました。

関連事項

「英霊」という言葉は、以下のような言葉や概念と関連があります。

聖戦: 宗教的または道徳的な目的のために行われる戦争。
戦死: 戦争で命を落とすこと。
帰国: 外国にいた人が自分の国に帰ること。
忠霊塔: 戦没者を慰霊するための塔。
エインヘリャル: 北欧神話に登場する、戦死した勇者たちの霊。
國之楯: 国家を守るための防衛力。
オリヴィエ・ジェルマントマ: フランスの歴史家。
英霊の声：三島由紀夫の作品。

このように、「英霊」という言葉は、歴史的背景や文化的背景を踏まえて理解する必要があります。

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