茂山千之丞

茂山千之丞

概要

茂山千之丞は、狂言方大蔵流の能楽師として名を馳せていた。彼は元々九世茂山千五郎の長男であり、連正喬という名前でも知られていた。2018年に現在の名跡を襲名し、三世となった。彼はその生涯を通じて狂言の普及と発展に深く関わった人物である。

初世と二世の茂山千之丞

初世の千之丞は、1872年に流行病で28歳の若さで亡くなった。次世代の二世は、1923年に京都で生まれ、本名を茂山政次とする。兄には、後に四世茂山千作となる人物がいた。二世は1926年に2歳7か月で初舞台を踏み、以降多くの舞台に出演する。彼はまた、戦時中の学生として出征を経験し、戦後は物資の仲買を行いながら狂言の舞台に立ち続けた。1946年に「茂山千之丞」として二世を襲名し、1947年には代表作「釣狐」を披露。

二世は、古典的な狂言に留まらず、さまざまなジャンルの公演に取り組む。その後、1956年に「狂言座」を立ち上げ、1971年には「狂言小劇場」を創設した。彼の活動は、新たな風を吹き込むものであり、時代に応じて狂言のスタイルを発展させた。

三世茂山千之丞の登場

三世茂山千之丞は、1983年に生まれ、父の茂山あきらの影響を受けて成長した。本名は茂山童司で、祖父に師事しながら早くから舞台経歴を積む。彼は2000年から2005年にかけて「心・技・体、教育的古典狂言推進準備研修錬磨の会」を主催。この活動は、古典狂言の普及を目的としていた。2018年には、古典の「花子」を披露する形で祖父の名跡を襲名した。

文化への影響

二世は、音楽や演劇の新しい表現形式を模索する姿勢を持ち続けた。木下順二による舞台「夕鶴」では514回にわたり主要キャストを務めたほか、サミュエル・ベケットの作品にも取り組むなど、その活動範囲は広がった。

また、豊かな声量で知られ、理論的なアプローチが特徴的であった。彼の演出による新作や実験的な作品は、多くの観客に新しい体験を提供し、狂言の魅力を再生させる原動力となった。

輝かしい受賞歴

二世茂山千之丞は、1992年に観世寿夫記念法政大学能楽賞を受賞し、1997年には芸術選奨文部大臣賞、1998年には松尾芸能賞優秀賞を受賞するなど、その業績は高く評価された。彼の弟子に丸石やすしがいて、次世代への影響も大きかった。

最後の日々

2010年12月4日、肝細胞癌のため、彼は87歳でこの世を去った。彼の死は日本の狂言の舞台にとって大きな損失であり、多くのファンに惜しまれた。

映画と著作

映像作品やラジオ番組にも多くの出演があり、著作もいくつか残している。彼の著書には、『狂言役者―ひねくれ半代記』などがあり、狂言に対する情熱と知識が色濃く反映されている。

結論

茂山千之丞は、狂言の発展と普及に深く関わり続け、家族と共にその伝統を次世代に引き継いだ偉大な能楽師である。彼の業績や影響は、今後も日本の文化の中で生き続けるだろう。

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