茅ヶ崎城址公園

茅ヶ崎城址公園（ちがさきじょうしこうえん）

茅ヶ崎城址公園は、神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎東二丁目に所在する公園で、15世紀から16世紀にかけて機能した中世の城郭、茅ヶ崎城の跡地を保存し、一般に公開しています。かつては一般的な雑木林であったこの場所は、歴史的に重要な意味を持つ中世城郭の遺構が良好な状態で残されていることから、公園として整備・保存される運びとなりました。

公園整備に至るまでには、詳細な調査研究の過程がありました。1990年（平成2年）から1998年（平成10年）にかけて、横浜市ふるさと歴史財団による綿密な発掘調査が実施されました。この調査によって、城郭の構造や範囲、さらには城の存在した時代背景に関する貴重な情報が得られました。調査結果に基づき、2005年（平成17年）から公園としての整備事業が開始され、遺構の保護と活用、そして来園者が安全に散策できるような環境づくりが進められました。そして、2008年（平成20年）に公園として完成し、現在に至ります。

園内最大の魅力は、中世城郭特有の多様な遺構がそのままの形で保存・公開されている点です。主要な遺構としては、城の内部を複数の区画に分ける平坦な場所である「曲輪（くるわ）」、または「郭（くるわ）」と呼ばれる郭群があります。茅ヶ崎城址公園では、中郭、北郭、東郭、西郭といった複数の郭の跡を確認できます。これらの郭は、土を盛り上げて築かれた防御施設である「土塁（どるい）」や、敵の侵入を物理的に阻むために掘られた「空堀（からぼり）」によって区画され、守られていました。土塁は敵の攻撃から身を守る盾となり、空堀は敵の動きを鈍らせ、城への接近を困難にする役割を果たしました。また、堀を越えるための通路として機能した「土橋（どばし）」や、城内における貴重な水源であったと考えられる「井戸」の跡なども見学することができます。これらの遺構群からは、当時の茅ヶ崎城がどのような構造を持ち、いかにして敵から城を守っていたのかを具体的に想像することができます。

公園の整備にあたっては、これらの歴史的遺構を分かりやすく解説するための施設も設置されています。園内には、城郭の構造や歴史について学ぶことができる「解説板」が設けられており、来園者は遺構を見ながら、その意義や役割について理解を深めることができます。また、散策路の整備や「トイレ」の設置など、利用者の利便性にも配慮されています。

茅ヶ崎城址公園へのアクセスは比較的容易です。横浜市営地下鉄のブルーラインおよびグリーンラインが乗り入れるセンター南駅から、徒歩でおよそ8分程度の距離に位置しています。駅からのアクセスが良いこともあり、近隣住民の憩いの場としてだけでなく、歴史に関心を持つ人々にとっても気軽に訪れることができる場所となっています。

この公園は、単なる緑地としてだけでなく、横浜市域に存在した中世城郭の歴史を今に伝える貴重な文化遺産としての側面を持っています。横浜市ふるさと歴史財団による詳細な調査報告書『茅ヶ崎城Ⅰ～Ⅲ』などは、茅ヶ崎城に関する学術的な基盤となっており、さらなる研究に資する資料となっています。

関連する項目として、「茅ヶ崎城」そのものや、公園の所在地である「都筑区」などが挙げられます。この公園を訪れることで、都市化が進んだ現代において、かつてこの地にあった中世の歴史の一端に触れることができるでしょう。遺構が語る静かな歴史の重みを感じながら、散策を楽しむことができる貴重な空間です。

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