茨城キリスト教大学短期大学部

茨城キリスト教大学短期大学部

茨城キリスト教大学短期大学部は、茨城県日立市大みか町にその本拠を置いていた日本の私立短期大学です。学校法人茨城キリスト教学園によって運営され、1950年に設立が認められ、2006年に閉学となりました。略称としては「茨キリ短」や「シオン」の呼び名でも親しまれていました。

概要

日本の短期大学制度が発足した初期にあたる1950年、最初に文部省から認可を受けた149校のうちの1校として開学しました。当初は2つの学科でスタートしましたが、その後の学科増設を経て、最大で4学科体制、一学年の定員合計が520名に達した時期もありました。しかしながら、時代の流れと共に学科数や学生定員は段階的に縮小され、規模が小さくなっていきました。最終的には2003年度の入学生を最後に、短期大学としての役割を終え、閉学へと至りました。

建学の精神

本短期大学は「キリスト教精神に基づく人格教育」を学是として掲げていました。この精神に基づき、学生一人ひとりの人間性を育む教育を目指していました。

教育および研究

キリスト教系の教育機関であったため、「キリスト教学」といった宗教に関連する科目がカリキュラムに含まれていました。教育プログラムとしては、全学科の学生を対象とした司書資格取得のための課程が設けられていたほか、中学校教諭二種免許状を取得するための教職課程も設置されていました。具体的には、英語科で英語、教養学科で社会、生活文化学科で家庭、日本文学科で国語の免許状取得が可能でした。設立当初は、これらの免許に加え、高等学校教諭免許状の教職課程も提供していました。

研究活動としては、所属教員による研究成果などをまとめた研究紀要が発行されており、大学の名称変更に伴い、『茨城キリスト教短期大学研究紀要』、『シオン短期大学研究紀要』、『茨城キリスト教大学短期大学部研究紀要』と名称を変えながら刊行が続けられました。

学風および特色

近隣に位置する茨城大学工学部との間で、1997年度から単位互換制度が実施されており、学生は他大学の授業を履修し、自身の学びを深める機会を得ることができました。

沿革

本学の歴史は、1949年10月に文部省へ短期大学設置認可申請を行ったことに始まります。当初の申請では、英文学科（定員30名）、教養学科（定員40名）、家政学科（定員30名）の3学科構成を予定していました。翌1950年3月14日に設置が認可され、同年4月1日に茨城キリスト教短期大学として開学。開学時の学科は英語科（英文学科より改称、定員40名）、教養科（教養学科より改称、定員60名）、家政科（家政学科より改称、定員30名）の3学科となりました。1951年2月28日には設置主体である学校法人茨城キリスト教学園の設立が認可され、同年4月1日には家政科の定員が30名から増員されました。1954年5月1日時点の学生数は、英語科71名、教養科77名、家政科45名でした。

その後も学科構成や定員は変動を続け、1974年4月1日には日本文学科（定員30名）が増設され4学科体制に。1975年には各学科の定員が増加し、英語科70名、教養科100名、家政科50名となりました。この時点（1975年5月1日）の学生数は英語科305名、教養科339名、家政科147名、日本文学科113名でした。1981年には教養科150名、英語科110名、日本文学科50名と定員が増え、1986年には家政科70名、英語科140名、日本文学科70名に、1987年には教養科が180名に増員されました。1988年4月1日には家政科が生活文化学科に、教養科が教養学科に名称変更され、4学科体制のまま推移しました。1990年4月1日には校名をシオン短期大学と改称するとともに、英語科160名、教養学科200名、生活文化学科80名、日本文学科80名と全体的に定員が増加しました。1997年4月1日には日本文学科の学生募集を停止。1999年4月1日には生活文化学科の学生募集も停止しました。2000年4月1日、再び校名を茨城キリスト教大学短期大学部に戻し、英語科の定員を130名に減員。同年7月28日には日本文学科が正式に廃止されました。2000年代に入り、英語科の定員がさらに110名に減員。2002年7月28日には生活文化学科が正式に廃止となりました。2003年4月1日をもって学生募集を終了し、英語科の定員を120名に減員したものの、この年度で新たな学生を迎えることはなくなりました。そして2006年6月14日、本短期大学は正式に廃止され、その歴史に幕を閉じました。

組織

廃止時には教養学科（定員170名）、英語科（定員100名）、生活文化学科（定員80名）、日本文学科（定員80名）の4学科が設置されていましたが、学生募集停止・廃止に伴い順次整理されました。専攻科および別科は設けられていませんでした。

学生生活・施設・対外関係

学生たちは、体育系（テニス、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、ゴルフ、弓道など）や文化系（ESS、美術、演劇、華道、茶道、手話、聖歌隊、写真など）のクラブ活動に積極的に参加していました。学園祭は「シオン祭」として親しまれ、多くの学生や地域住民で賑わいました。施設面では、モアヘッド記念館が家政科（後の生活文化学科）のホームマネージメントなどで利用され、学生寮として若草寮が存在しました。

国内外の教育機関との交流もあり、アメリカのアッシュランド大学やオーストラリアのカソリック大学と協定を結んでいました。また、系列校には茨城キリスト教大学、茨城キリスト教学園中学校・高等学校があります。

卒業後の進路・著名な卒業生

卒業生は系列の茨城キリスト教大学への編入学のほか、様々な大学へ編入する実績を残しました。著名な卒業生には、神学者として知られる高尾利数氏、元女優の宮田かずこ氏、政治家として元那珂市長を務めた小宅近昭氏などがいます。

茨城キリスト教大学短期大学部は、建学の精神に基づき多くの人材を育成し、その役割を終えましたが、卒業生や関係者の心に深く刻まれた存在として記憶されています。

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