茨城県立並木高等学校

茨城県つくば市並木四丁目に位置していた県立の高等学校です。この学校は、県の計画によるものではなく、地元住民による署名活動などの強い誘致要望を受けて開校したという、設立の経緯に特色がありました。筑波研究学園都市の東南部に位置し、近隣には産業技術総合研究所や筑波宇宙センターといった著名な研究機関が点在する環境でした。

学力の向上を目指し、通常の授業に加え、土曜日にも授業を実施したり、早朝や長期休業中に課外授業を行ったりするなど、熱心な教育活動を展開していました。

学校の歴史は、1980年 11月13日の設置に関する県議会への陳情に始まります。翌1981年7月には、茨城県知事と教育長への誘致陳情が行われました。開校に向けた準備は、1983年 10月8日に茨城県立竹園高等学校内に準備室が設けられたことで本格化します。そして、1984年 4月7日には記念すべき第1回入学式が挙行され、379名の新入生を迎えました。同年11月6日には開校式が行われました。

学校生活を彩る校歌は、詩人の谷川俊太郎氏が作詞を、音楽家の小室等氏が作曲を手がけ、1986年12月に発表会が催されました。最初の卒業式は1987年 3月10日に行われ、377名が学び舎を巣立っています。その後、1993年 11月2日には創立10周年、2003年 11月27日には創立20周年の記念式典が執り行われました。20周年の際には、ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈氏が来校しています。

学校は、2006年2月に策定された県立高等学校再編整備の後期実施計画に位置づけられました。これに伴い、2008年度には並木高等学校に中等教育学校が併設される形で開校し、パイロットスクールとしての役割を担うことになりました。2011年度には高校からの新たな募集を停止し、段階的に中等教育学校への移行が進められました。そして、2013年 3月31日をもって、茨城県立並木中等教育学校への完全移行が完了し、並木高等学校はその歴史に幕を下ろしました。

教育方針としては、「あらゆる生命を尊び、他に尽くす心を養う」ことを掲げていました。

学校行事も多岐にわたり、1年生の「学級づくり合宿」、文化祭である「かえで祭」、全学年で実施される「スポーツデイ」や1泊2日60キロを踏破する「ウォークラリー」などがありました。また、国際交流や語学研修にも力を入れており、希望者を対象としたニュージーランド語学研修やブリティッシュヒルズ語学研修、さらには海外修学旅行（5年生）なども行われていました。3年生向けの修学旅行では平和研修が取り入れられていました。学校公開も定期的に実施されていました。

生徒会活動では、学園都市内にある茨城県立竹園高等学校や茗溪学園高等学校との間で長年交流が続けられていました。

部活動も盛んに行われており、以下のような多様なクラブが存在しました。

運動部: ラグビー部、硬式テニス部、バレーボール部、サッカー部、バスケットボール部、卓球部、ハンドボール部、水泳部、陸上競技部（インターハイ出場経験あり）、柔道部、軟式野球部、登山部、剣道部。
文化部: 美術部、吹奏楽部、写真部、茶道部、華道部、情報メディア研究部、囲碁・将棋部（全国大会出場経験あり）、演劇部、文芸部、弦楽アンサンブル部、鉄道研究部。
* 同好会: 料理研究同好会、英語同好会、放送同好会。

学術的な分野での活躍もあり、アメリカ・サンディエゴで開催された地理情報システム（GIS）の世界大会への出場や、DNA分析の手法を用いた朝顔の色に関する研究で「日本学生科学賞」の茨城県議会議長賞を受賞するといった実績を残しています。また、茨城県から「大学進学ジャンプアップスクール」（2004～2006年度）や「科学技術教育重点推進校」（2005～2007年度）に指定されるなど、学力向上や科学教育にも重点を置いた指導が行われていました。

交通アクセスとしては、つくばエクスプレスつくば駅（つくばセンター）や、常磐線土浦駅・荒川沖駅からバスを利用し、「学園並木」停留所下車徒歩1分、または「並木大橋」停留所下車徒歩約3分でした。

著名な出身者には、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席ビオラ奏者である清水直子氏や、お笑いタレントの黒田俊幸氏（ダブルブッキング）などがいます。

閉校後、校舎施設は茨城県立並木中等教育学校に引き継がれています。関連する学校として、茨城県立並木中等教育学校、茨城県立竹園高等学校、茗溪学園高等学校などがあります。

もう一度検索