清水直子

清水直子は、国際的に活躍する日本のヴィオラ奏者である。1968年7月4日に大阪府で生まれ、茨城県つくば市で育った彼女は、現在、世界有数の楽団であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団において首席ヴィオラ奏者の重責を担っている。

彼女の音楽教育は、茨城県立並木高等学校を卒業後、桐朋学園大学で始まった。大学では当初ヴァイオリンを専攻し、広瀬悦子氏と江藤俊哉氏の指導を受けた。その後、研究科に進んでヴィオラへと専門を転向し、岡田伸夫氏に師事。1993年に同研究科を修了した。

さらなる研鑽を積むため、1994年にはドイツへと渡り、デトモルト音楽大学でヴィオラの大家である今井信子氏に師事した。ドイツでの学びを経て、清水は国際的なコンクールでその才能を開花させる。1996年には権威あるジュネーブ国際コンクールに出場し、1位該当者なしの中、最高位となる第2位を獲得した。翌1997年には、ミュンヘン国際音楽コンクールにおいてヴィオラ部門で第1位に輝く快挙を達成した。このミュンヘンでの優勝は、この部門ではユーリ・バシュメット以来21年ぶりという歴史的な出来事であり、彼女の名を一躍世界の音楽界に知らしめる契機となった。

国際コンクールでの連続受賞は、清水をソリストとしての道へと導いた。その後、彼女は世界各国の主要なオーケストラからの招聘を受け、ソリストとして共演を重ね、その卓越した技術と豊かな音楽性を披露し、高い評価を得た。

ソリストとしての活躍と並行して、清水は2001年2月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席ヴィオラ奏者という、世界のオーケストラ奏者にとって最高の栄誉とされるポストに就任した。これは前述の通り、ベルリン・フィルの長い歴史において、弦楽器パートのトップポジションに女性が就くことが極めて異例であった状況を踏まえると、その実力と求心力がいかに高かったかを物語る出来事である。首席奏者として、彼女はベルリン・フィルのアンサンブルを支える重要な役割を果たしている。

音楽活動に加え、彼女の生活や人間性にも注目が集まったことがある。2006年には毎日放送のドキュメンタリー番組『情熱大陸』で特集され、ベルリンでのピアニストである夫、オズガー・アイディン氏との生活の様子や、パウル・ヒンデミットの無伴奏ヴィオラ・ソナタを演奏するシーンなどが紹介された。

ベルリン・フィルの首席奏者としての活動に加え、清水はソリストとして、また室内楽奏者としても精力的に活動を続けている。オーケストラでの経験に裏打ちされた堅固な音楽性と、ソリストとしての自由な表現力を兼ね備えた彼女の演奏は、多くの聴衆を魅了し続けている。今後も世界的なヴィオラ奏者として、そのキャリアをさらに深めていくことが期待されている。

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