草 (松本清張)

草

松本清張の小説『草』は、1960年に『週刊朝日』で連載された後、同年7月に単行本として刊行されました。本作は、犯罪や人間の心理を深く掘り下げたサスペンス作品として評価されています。2021年、1961年と2015年にそれぞれテレビドラマ化されたことでも知られています。

あらすじ

物語は、入院中の主人公・沼田一郎の視点で描かれます。彼は東京都内にある朝島病院に入院しており、病院を経営する院長の朝島憲一郎や婦長の雨宮順子が毎日回診を行っています。沼田には付添婦の河原タミが付き、彼の隣の病室には入院患者の金子京太がいます。

ある日の朝、突然に朝島院長と雨宮婦長の回診が行われなくなり、院内で不穏な噂が流れ出します。加えて、薬剤師の堀村が謎の自殺を遂げる事件が発生。続いて、事務長の笠井光雄も自ら命を絶ってしまいます。このように病院の雰囲気は一変し、次々と不穏な事件が巻き起こる中、沼田の周りでも何かが動き始めるのです。

登場人物

• - 沼田一郎：物語の主人公で、入院患者。
• - 朝島憲一郎：病院の院長。
• - 雨宮順子：婦長。
• - 河原タミ：沼田の付添婦。
• - 金子京太：沼田の隣の病室にいる入院患者。
• - 堀村泰晴：薬剤師で自殺した人物。
• - 笠井光雄：事務長。

作品についての批評

本作に対する評判はさまざまです。阿刀田高はラストシーンについて驚きを抱き、松本清張の形式がフェアなのか疑問を投げかけました。一方、細谷正充は、作者の意図が舞台劇風の仕立てにあることを指摘しています。海堂尊は、作品のタイトルが地味すぎる点が唯一の不満であると述べました。

書誌情報

『草』は1961年に初めてテレビドラマ化され、その後も2015年に新たにリメイクされたことで、多くの観客に親しまれています。1961年版では、TBS系で放送され、主演には有島一郎などが起用されました。2015年版は、村上弘明を主演に、テレビ東京で特別企画として放送され、その制作には仙台市立病院の旧建物が使用されました。

テレビドラマの詳細

1961年版

• - 放送日：1961年3月27日、4月3日、4月10日
• - キャスト：有島一郎、桑山正一、万代峰子など
• - 脚本：寺田信義
• - 制作：東京テレビ

2015年版

• - 放送日：2015年3月25日
• - キャスト：村上弘明、剛力彩芽、岡田義徳など
• - 脚本：深沢正樹
• - 制作：テレビ東京、オスカープロモーション

まとめ

『草』は、松本清張の独特な作風と深い人間洞察が光る作品です。数々の事件を通じて描かれる人間関係や心理描写は、多くの読者や視聴者に衝撃を与えました。今後もこの作品がどのように受け継がれ、解釈されていくのか注目です。

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