草薙渉

草薙 渉

日本の小説家

草薙 渉（くさなぎ わたる）は、1947年4月3日に和歌山県に生を受けた日本の作家である。大学教育は日本大学経済学部で受けた後、文筆の世界へ進むことになる。

草薙渉の作家としてのキャリアは、1989年に大きな転機を迎える。この年、彼が執筆した長編小説「草小路鷹麿の東方見聞録」が、文壇における重要な新人賞の一つである小説すばる新人賞に輝いたのである。この栄誉ある受賞をきっかけに、草薙渉は本格的に専業作家としての道を歩み始め、以後、多岐にわたるジャンルやテーマの作品を発表し続けることとなる。

デビュー作となった「草小路鷹麿の東方見聞録」は、受賞の翌年、1990年2月に集英社より単行本として刊行された。この作品は読者からの支持を得て、後に集英社文庫として文庫化もされている。初期の活動としては、1990年10月にはPHP研究所から「からし色のワーゲン」を発表。さらに1991年6月には、再び集英社から「黄金のうさぎ」を刊行した。「黄金のうさぎ」もまた、後に文庫版が登場している。

1990年代に入ると、草薙渉は精力的に作品を発表していく。1992年には2冊の作品を刊行している。まず6月には、光文社から「鳩約聖書 ゆとり郎とタケハル物語」を発表。続いて8月には、集英社より「ひるがえる一旗」を世に送り出した。翌1993年も精力的な執筆は続き、4月には集英社から青春小説ともいえる「17歳のランナー」を刊行。同年6月には、広済堂出版から「草小路弥生子の西遊記」を刊行し、この作品も後に集英社文庫に収められている。

作家活動の中では、他の表現者との共同作業も行われた。1994年2月には、漫画家として知られる次原隆二氏との共著という形で、集英社から「水戸黄門的…」を発表。さらに1995年7月にも、同じく次原隆二氏との共同執筆による「SPストリートパフォーマー」を集英社より刊行しており、小説という枠を超えた表現にも取り組んだ姿勢が見られる。

読売新聞社からも複数の単行本が刊行されている点も注目される。1995年3月には「いつか森の中で」を、翌1996年1月には「黄色い雨」を、そして1997年2月には「インマイライフ'79」を発表しており、これらの作品を通じて新たな読者層にもアプローチした。

その他の注目すべき作品としては、集英社から1995年3月に刊行された「六月のうさぎたち」がある。また、既存作品の文庫化だけでなく、文庫書き下ろし作品も手掛けている。1998年5月には集英社文庫から「第8の予言」を、2002年8月には小学館文庫から「帝都異聞」が刊行され、より手軽な文庫形式でも多くの読者に作品を届けた。

2000年代に入っても、草薙渉の創作意欲は衰えることなく、新たな作品を発表している。2006年7月からは、柏艪舎が企画する文芸シリーズの一環として、「空に西郷星」の刊行が開始された。

このように、草薙渉は1989年のデビューから現在に至るまで、四半世紀以上にわたり日本の文壇で活動を続ける多作な作家である。その著作は、歴史小説、青春小説、現代を舞台にした物語など多岐にわたり、集英社、PHP研究所、光文社、広済堂出版、読売新聞社、小学館、柏艪舎など様々な出版社から刊行されている。彼の作家活動の一端は、インターネット上のサイトである文芸下見所（パドック）などでも知ることができる。

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