荒川アンダー ザ ブリッジ

荒川アンダー ザ ブリッジ



『荒川アンダー ザ ブリッジ』は、中村光による日本の漫画作品で、2004年から『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載されました。本作は、荒川河川敷を舞台に、常識外れな住人たちと、大企業の御曹司である主人公・市ノ宮行(通称リク)との奇妙な共同生活を描いたコメディ作品です。連載は、作者の産休による一時休載を挟み、2015年に完結しました。単行本は全15巻で、累計発行部数は640万部を突破しています。

この作品は、漫画だけでなく、2010年にはテレビアニメ化され、2期にわたって放送されました。さらに、2011年には実写ドラマ化、2012年には映画化もされ、幅広いメディア展開が行われています。

あらすじ



物語は、大企業の御曹司である市ノ宮行が、幼い頃から父親に「他人に借りを作るな」と厳しく教えられて育ったことから始まります。ある日、ひょんなことから溺れかけた行は、荒川河川敷に住む自称金星人のニノに命を救われます。ニノは、行に「私にをさせてくれないか?」と要求し、その恩返しとして、行はニノの人となり、河川敷で生活することになります。

河川敷には、自称河童の村長をはじめ、星型のマスクを被ったミュージシャン、元傭兵のシスターなど、一風変わった人々が多く住んでいます。行は「リクルート」(リク)という名前を与えられ、彼らと共に常識外れな生活を送ることになります。

登場人物



主要人物



市ノ宮 行(いちのみや こう)/ リクルート
声 - 神谷浩史
大財閥「市ノ宮グループ」の御曹司。22歳のエリート大学生で、複数の会社を経営しています。幼い頃からの教育により、学問、運動、芸術などあらゆる分野に精通しています。ナルシストで、借りを作ることを極端に嫌います。河川敷では教師として子供たちに勉強を教えます。

ニノ
声 - 坂本真綾
自称金星人の謎の美少女。金髪のワンレングスが特徴で、青いジャージを着ています。感情表現が乏しく、淡々とした口調ですが、リクと付き合うようになってから笑顔を見せるようになりました。荒川河川敷では魚を獲るのが仕事で、料理も魚中心です。

村長(そんちょう)
声 - 藤原啓治
荒川河川敷の住人をまとめる自称620歳の河童。着ぐるみを着た人間ですが、周囲からは本物の河童だと思われています。楽天的で気分屋ですが、時折、人を落ち着かせる言葉を口にします。河川敷の住人に名前をつける役割を持っています。

星(ほし)
声 - 杉田智和
常に星形のマスクを被ったミュージシャン。ニノが好きで、リクをライバル視しています。ギターの腕は確かですが、披露する曲は奇妙なものが多いです。過去には売れっ子ミュージシャンだった時期もあります。

シスター
声 - 子安武人
シスターの格好をした元傭兵の美青年。教会ミサを行っています。軍事的な知識や戦闘能力が高く、教会の地下には核シェルターまで備えています。クッキー作りが得意な一面も。

その他の住人たち



シロ / 白井 通(しらい とおる):常に白線を引いて移動する中年男性。元一流企業の営業マンで、白線渡りに情熱を燃やしています。
鉄人兄弟(てつじんきょうだい)/ 鉄雄(てつお)、鉄郎(てつろう):鉄仮面を被った超能力者と自称する兄弟。ドラム缶風呂屋を営んでいます。
P子(ピーこ):河川敷で野菜を栽培する少女。ドジっ娘で、村長に心を抱いています。
ステラ:シスターを追ってイギリスからやってきた少女。普段は普通の少女ですが、怒るとヤクザ口調になり、体が巨大化することもあります。
マリア:家畜を飼育するサディストの美女。シスターをからかうのが好きです。
ラストサムライを結った青年。美容師で、日本刀で髪を切ります。P子が好きです。
ビリーオウムのマスクを被ったハードボイルドな男。ジャクリーンの人です。
ジャクリーン:女王蜂の格好をした美女。ビリーの人です。エステティシャンをしています。
亀有/甘食:人気アイドルグループ「カツーン」のメンバー。服を着ることに嫌悪感を抱き、裸でいたいという願望を持っています。

主要人物の関係者



市ノ宮 積(いちのみや せき):リクの父で、市ノ宮カンパニーの社長。リク同様に喘息持ちで、家訓を徹底しています。
高井 照正(たかい てるまさ):リクの秘書。リクを溺愛しており、少し過保護な面も。
島崎(しまざき):リクの会社の社員。積の命令でリクの動向を探っています。

その他の登場人物



謎の男:荒川河川敷の再開発計画を阻止しようとする謎の人物。ニノのことを大切に思っています。
くわばらぽてち/地球防衛軍隊長:SF漫画家。荒川の住人をモデルにした漫画を連載しています。
アマゾネス:鎧を身につけた屈強な少女。リクに心を抱いていましたが、後に星に心変わりしました。
天狗3人衆:アマゾネスの部下。アマゾネスをサポートしています。
ヤス:ビリーの舎弟。ビリーを心酔しています。
もぐら:謎の組織「腐葉土」のリーダー。マルチ商法紛いの活動をしています。
バド・ギンズバーグ:元パパラッチ。星のスキャンダルを暴きました。
イリィ・ギンズバーグ:バドの娘。クールな性格です。
金星人の幽霊:本作終盤に登場する金星人の青年。

テレビアニメ



テレビアニメ版は、2010年に第1期、同年10月から第2期が放送されました。原作の独特な世界観やキャラクター設定を忠実に再現し、多くのファンを魅了しました。監督は新房昭之が務め、アニメーション制作はシャフトが担当しました。オープニングは第1期、第2期ともに山本沙代絵コンテを担当し、音楽は横山克が担当しました。

実写作品



実写ドラマは、2011年7月から9月までTBS系列で放送されました。映画版は、2012年2月に公開されました。ドラマ・映画ともに、飯塚健が監督・脚本を務め、個性的なキャスト陣が話題を呼びました。ドラマ版は深夜ドラマとしては異例の33局ネットで放送されました。ロケは茨城県栃木県などで行われ、荒川河川敷のセットが忠実に再現されました。

Webラジオ



2010年4月から12月まで、Webラジオ『荒川FM』が配信されました。パーソナリティは藤原啓治(村長役)と小見川千明(P子役)が担当しました。番組内では、さまざまなコーナーが展開され、アニメ版の声優陣がゲスト出演しました。

その他



メタルギアソリッド ピースウォーカー』とのコラボレーション企画では、ゲーム内に単行本やキャラクターTシャツが登場しました。また、映画版に出演した井上和香が、監督の飯塚健と結婚したことも話題になりました。

『荒川アンダー ザ ブリッジ』は、その独特な世界観と個性的なキャラクターたちが魅力の作品です。常識にとらわれない生き方や、人間関係の面白さを描いた物語は、多くの人々に愛され続けています。

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