御曹司

御曹司（おんぞうし）

御曹司とは、元々宮中や貴族の私室に対する尊敬の意を込めた呼称です。しかし、時が経つにつれ、特にそこで暮らす者を指す言葉として広がりを見せています。

語源および概要

「曹司」という語は、宮中や役所にある局や官吏用の詰所、貴族の住居の一部である私室を指し、また大学寮の教室も含まれます。この背景から、独立前の自宅に自分の部屋を持つ貴族の若者は敬称として「御曹司」と称されました。
現代においては、歴史的な家系や権力を持つ一族、または非常に裕福な家庭に生まれた当主の息子を広く指す言葉となっています。ちなみに、同じ意味で「御曹子」と書かれることもあります。

歴史における「御曹司」

この言葉は主に源氏に関する歴史において見られ、特に源頼朝や源義経などの子弟を指した言葉でした。たとえば、NHKの大河ドラマ『草燃える』では、北条義時が源頼朝に対して「御曹司」と呼びかけるシーンがあります。また『義経』では、武蔵坊弁慶が源義経を同様に呼称しています。一方で、平清盛の時代に公家化が進んだ平家の子弟は、公的な地位にあったため「公達」と呼ばれていました。

現代における「御曹司」の意味

今日の「御曹司」には主に二つの意味があります。
1つ目は、歌舞伎役者の家系の男子で、未来に大名跡を襲名することが期待される子。例として、市川海老蔵は父である市川團十郎を襲名することが期待されている成田屋の御曹司です。また、尾上菊之助も将来的に八代目尾上菊五郎の名を受け継ぐことが期待されています。

2つ目は、裕福な家庭に生まれ、その資産を将来的に受け継ぐことが予想される男子です。この場合、良い意味では「お坊ちゃん」と呼ばれ、特に家事を手伝う使用人たちからは敬称を込めて「（名前）坊ちゃま」と呼ばれることもあります。しかし、その一方で、悪い意味で「どら息子」や「（親の七光の）馬鹿息子」といったネガティブなニュアンスが潜むこともあります。

結語

御曹司という言葉は、尊敬や期待、また時には揶揄を含む多層的な意味合いをもち、多くの文脈で使用されてきました。このように、歴史を踏まえた文化的背景を理解することで、現代におけるこの言葉の使われ方や意義がより明確になるでしょう。自らの出自や家柄から受け継ぐ期待を抱えながら生きる彼らの存在は、今もなお社会における重要な役割を果たしています。

もう一度検索