荒川水管橋

荒川水管橋

荒川水管橋（あらかわすいかんきょう）は、埼玉県に位置する、全長約1100メートルの水管橋です。日本最長の水管橋として名を馳せており、埼玉県営水道の行田浄水場からくる水道水を送る重要な役割を担っています。この橋は、荒川の左岸にある鴻巣市から、右岸側の熊谷市へ水を届けるために設計されています。

橋の歴史

荒川水管橋は、1982年（昭和57年）に着工され、1984年（昭和59年）5月31日に埼玉県北足立郡吹上町大芦（現在の鴻巣市）と大里郡大里町小八林（現熊谷市）の間に完成しました。橋の総事業費は39億160万円に達し、荒川の河口から約68キロメートルの地点に架設されています。この橋は、ローゼ補剛形式の14連で構成されており、送水管が橋桁の役割も兼ねています。

部分的には、直径1.2メートルの送水管が白色に塗装され、アーチ部材は赤く塗られています。この美しいデザインは、1985年に厚生省・日本水道新聞社の企画による「近代水道百選」に選ばれ、その年には全日本建設技術協会からも評価され「全建賞」を受賞しました。

水の供給システム

荒川水管橋を通じて運ばれる水は、利根川の利根大堰から取水された河川水が行田浄水場で処理され、埼玉県内の各地に供給されます。特に比企や入間地方など西部地域の住民の生活に欠かせない存在です。

この橋は水道専用設備で、そのため通常は人が渡ることはできませんが、2016年からは特別な見学会が開催されるようになり、利用者や見学者はキャットウォークを歩いて橋を体感することができるようになりました。見学会は毎年春と秋に開かれ、多くの方々がこの貴重な経験を楽しんでいます。

周辺環境

荒川水管橋の周辺は自然豊かで、美しい風景が広がっています。特に秋には、約1000万本ものコスモスが堤防を彩る光景が魅力的です。また、上流約500メートルの地点には埼玉県道66号行田東松山線の大芦橋があり、本橋の近くには特長的なデザインの吉見橋も架かっています。

他にも、埼玉県内で水を送るための橋として深谷市の荒川第二水管橋が存在し、周囲には農業用水を運んでいた江南サイフォンの遺構も残っています。

その他の情報

荒川水管橋を見学した方には、埼玉県企業局が発行する「橋カード」が配布されており、カードにはメンテナンス用通路からの景観や、橋に関するデータが載っています。この橋は、単なるインフラにとどまらず、地域の歴史や文化とも密接に関わっていることが感じられます。
また、周辺では様々な自然活動や観光スポットも楽しむことができ、訪れる人々にとって貴重な体験ができます。

もう一度検索