荒木夏実

荒木夏実氏は、フランス・パリで生まれ、その後日本で教育を受けました。慶應義塾大学文学部を卒業後、イギリスのレスター大学にてミュージアム・スタディーズの修士課程を修了。国際的な視点と専門知識を兼ね備えたキュレーターとしてのキャリアをスタートさせました。

彼女は1994年から2002年まで三鷹市芸術文化振興財団でキュレーターとして活動し、その後、2003年から2018年までの長きにわたり森美術館に勤務しました。この間、2010年には慶應義塾大学の非常勤講師も務め、教育にも貢献しました。

荒木氏のキュレーションは、国内外の現代美術を中心に多岐にわたります。彼女が企画した主な展覧会には、「曽根裕：スクープ」(1996)、「サイモン・パタソン：言葉とイメージの遊戯室」(1998)、「フロリアン・メルケル：From Berlin to Tokyo」(2000)、「オフロ・アート：銭湯の背景画」(2002)などがあります。これらの展覧会では、作家の個性を際立たせながら、現代社会における美術の役割を問いかけるようなテーマが設定されていました。

2000年代以降も、「ストーリーテラーズ：アートが紡ぐ物語」(2005)、「六本木クロッシング2007：未来への脈動」(2007)、「小谷元彦展：幽体の視覚」(2010)、「LOVE展：アートにみる愛のかたち」(2013)など、数多くの話題性のある展覧会を手がけました。特に、「ゴー・ビトゥイーンズ展：こどもを通して見る世界」(2014)は、第26回倫雅美術奨励賞および第10回西洋美術振興財団学術賞を受賞し、その高い企画力と学術的な貢献が評価されました。

近年では、「彼女たちは歌う」(2020)、「居場所はどこにある？」(2021)など、社会的なテーマを扱う展覧会にも積極的に取り組み、現代社会における美術の可能性を追求しています。これらの展覧会を通じて、社会の多様な側面や問題点を提示し、観客に新たな視点を提供する役割を果たしています。

荒木夏実氏は、単に作品を展示するだけでなく、作品と観客、そして社会との間に深い対話を促すような展覧会を企画することで、現代美術の発展に大きく貢献しています。その活動は、美術界のみならず、社会全体に影響を与え続けています。

彼女の活動は、X（旧Twitter）やresearchmapなどのプラットフォームを通じて広く知られており、森ビルヒルズキャストでのインタビュー記事でもその考えを知ることができます。これらの情報源を通じて、荒木氏の活動や考え方に触れることができるでしょう。

荒木夏実氏は、その国際的な視野、深い専門知識、そして社会に対する熱意をもって、現代美術の可能性を追求し続ける、現代日本を代表するキュレーターの一人と言えるでしょう。

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