荒海貝塚

荒海貝塚

荒海貝塚は、千葉県成田市荒海に位置する縄文時代の貝塚です。利根川へと流れ込む荒海川に面した標高32メートルの台地上にあります。

概要

この貝塚は、縄文時代後期から晩期にかけて形成されたもので、1960年（昭和35年）から1990年（平成2年）にかけて、早稲田大学や国立歴史民俗博物館によって計5回の発掘調査が行われました。特に第1次調査では、縄文時代における最後期の大規模な貝塚であることが判明し、全国的にその名を知られるようになりました。

出土した貝類のほとんどはヤマトシジミで、わずかにハマグリなどの鹹水産の貝も見られます。貝層は特に西側台地斜面で厚く、最も厚い部分では約1メートルにも達します。この最も大きな貝層を形成している地点からは、関東地方における最終末段階の縄文土器が出土しました。この土器は、岩手県大船渡市の大洞貝塚で発見された土器を基準とする「大洞A'式土器」の影響を受けており、この地域独特の土器として「荒海式土器」と命名されました。

また、荒海貝塚からは、県内では珍しい、当時の稲作の可能性を示す考古資料として、底部に籾痕が付いた土器が出土しています。これは、粘土がまだ乾かないうちに籾が付着したものと考えられています。さらに、荒海貝塚や近隣の宝田鳥羽貝塚からは、荒海式土器の時期におけるイネの「プラント・オパール（ケイ酸の化石として残ったイネの細胞の一部）」が検出されています。これらの発見により、縄文時代晩期には成田市周辺で稲作が行われていた可能性が高まりましたが、陸稲栽培であったのか、水田耕作であったのかはまだ解明されていません。

遺跡内には、貝塚を示す石碑が建てられています。

なお、この貝塚から出土した荒海式土器の時期は、縄文時代晩期から弥生時代初頭にかけての時代の変わり目にあたるため、弥生初頭の土器として扱われることもあります。

参考文献

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関連項目

縄文時代の遺跡一覧
* 千葉県の貝塚一覧

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