荘公 (魯)

魯の君主、荘公の生涯

荘公（そうこう）は、春秋時代の魯の第16代君主であり、名は同（どう）といいます。父は桓公であり、その跡を継いで魯国の君主となりました。在位期間は紀元前693年から紀元前662年までの32年間です。

生誕と即位

荘公は、桓公6年（紀元前706年）9月丁卯の日に生まれました。この日は父である桓公の誕生日と同じであったため、「同」と名付けられました。桓公18年（紀元前694年）に父が斉で亡くなると、その後を継いで魯の君主となり、同年12月には桓公の弔いを行いました。

斉との関係

荘公の時代、斉との関係は重要な外交課題でした。荘公8年（紀元前686年）には、斉の公子糾（きゅう）とその補佐役である管仲（かんちゅう）が魯に亡命してきます。翌年、斉の桓公が軍を起こして魯を攻撃すると、魯は公子糾を殺害してしまいます。さらに斉は管仲の身柄を要求しましたが、魯の大夫である施伯（しはく）は、斉が管仲を重用すると見抜き、彼を殺すよう進言しました。しかし、荘公はこれを聞き入れず、管仲を斉に送り返しました。この管仲は後に斉の宰相として活躍し、斉を強国へと導くことになります。

荘公13年（紀元前681年）、荘公は斉の桓公と柯（か）で会合しました。この時、魯の武将である曹沬（そうばつ）が桓公を脅し、かつて斉が奪った魯の領土を返還するように要求しました。桓公がこの要求を受け入れると、曹沬は桓公を解放しました。桓公は約束を破ろうとしましたが、管仲の諫めにより、魯の領土は返還されました。この事件は、荘公の外交手腕と、管仲の才覚を示す出来事と言えるでしょう。

後継者問題

荘公の夫人である哀姜（あいこう）は斉の出身であり、子を儲けることができませんでした。荘公は死に際し、庶子である斑（はん）を後継者にしようとしましたが、荘公の弟である叔牙（しゅが）は、さらに下の弟である慶父（けいふ）を後継者にするよう主張しました。一方、末弟である季友（きゆう）は斑を支持し、荘公の名において叔牙に毒酒を飲ませ、自殺させました。これにより、斑が後継者として擁立されることになりました。

死去とその後の混乱

荘公は、荘公32年（紀元前662年）8月癸亥の日に病没しました。享年45歳でした。彼の死後、季友は斑を擁立して魯君としましたが、10月には慶父が斑を殺害し、荘公の別の庶子である啓（けい）が魯君となりました。この後継者争いは、魯の国力を大きく弱める要因となりました。

家庭

荘公の家庭は以下の通りです。

父親: 桓公（第15代魯公）
母親: 文姜（第13代斉公・釐公の娘）
兄弟:
慶父（孟孫氏の祖、共仲）
叔牙（叔孫氏の祖、僖叔）
季友（季孫氏の祖、成季）
妃:
哀姜（第14代斉公・襄公の娘？）
叔姜（同上・哀姜の妹、閔公の母）
孟任（魯の大夫党氏の娘、子斑の母）
成風（須句の公女、僖公の母）
子女:
子斑（第17代魯公）
閔公（第18代魯公）
僖公（第19代魯公）
公子遂（東門襄仲）
杞伯姫

まとめ

荘公の治世は、斉との外交や後継者争いなど、様々な出来事が起こりました。彼の決断は、魯の歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼の死後、魯はさらなる混乱期を迎えることになります。彼の生涯は、春秋時代の動乱を象徴する出来事の一つとして、後世に語り継がれています。

参考資料

韓兆琦『新譯史記讀本』、台北、三民書局、2008年2月初版
* 程發軔『春秋人譜』、台北、台湾商務印書館、1995年1月二版

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