荷路夫バイパス

荷路夫バイパス

荷路夫バイパスは、福島県いわき市田人町に位置する国道289号のバイパス道路です。国道289号は、福島県が定める県土軸の重要な路線の一つですが、いわき市田人町荷路夫地内の区間は、入旅人川に沿っており、道幅が狭く、急カーブや急勾配が連続していました。このため、安全な通行が困難であり、幹線道路としての機能が十分に発揮できていませんでした。

バイパスの建設により、これらの問題が解消され、交通の安全性が向上しました。1999年7月には根室トンネルを含む区間が開通し、その後、根室工区と荷路夫バイパスの事業が進められ、2010年10月3日に全線が開通しました。

環境への配慮

バイパスの建設にあたっては、周辺の豊かな自然環境への配慮が重視されました。この地域は鮫川の支流の水源域でもあるため、自然環境の保全には細心の注意が払われました。「荷路夫エコロード」として、植生や野生生物の保護を目的とした取り組みも行われました。行政、専門家、NPO、地域住民が協力し、道路建設が進められました。

盛り土部分には、動物が道路を横断せずに移動できるトンネルが設けられました。沢との交差地点では、自然に近い川床を保全するために、基礎面積が狭いアーチバスカルバートが採用され、水生生物の生息環境が維持されています。

路線データ

起点：いわき市田人町旅人字古田
終点：いわき市田人町荷路夫
全長：3,800m（根室工区L=1,500mは含まない）
全幅：6.5m（9.0～11.0m）

主要な構造物

朝日トンネル

全長：1,175.0m
幅員：6.5（9.0）m
有効高：4.7m
工法：NATM工法
竣工：2010年2月
総工費：20億円

朝日橋

全長：80.0m
主径間：39.35m
幅員：6.5（9.0）m
形式：2径間鋼連続非合成鈑桁橋
竣工：2007年度
総工費：2億7100万円

貝泊大橋

全長：331.0m
主径間：56.0m
幅員：9.0m
形式：6径間鋼連続2主箱非合成箱桁橋
竣工：2009年2月27日
総工費：13億3千万円

貝泊大橋は、大柴沢と大柴沢林道に架かる橋梁で、半径213mのカーブを描く線形が特徴です。桁下高さが最大約47mに達し、自然環境への影響を最小限に抑えるために、特殊な工法が用いられました。

荷路夫トンネル

全長：742.0m
幅員：6.5（9.0）m
有効高：4.7m
工法：NATM工法
竣工：2007年3月
総工費：18億円

荷路夫バイパスは、地域の交通インフラを改善し、安全で快適な通行を可能にする重要な役割を果たしています。また、自然環境への配慮や地域住民との連携を通じて、持続可能な道路建設のモデルケースとなっています。

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