林道

林道とは

林道とは、森林内に設けられた道路のことを指します。日本では、林野庁が定める「林道規程」に基づき、森林の整備、保全、木材の切り出しなどを目的として設置される道路の総称です。一般的に、森林の中を通る道を広く林道と呼ぶこともありますが、日本の法律上では、森林法に基づいて設置される道路であり、道路法や関連法規の適用外となります。ただし、一般の利用に供される林道については、道路交通法などの規制を受けます。

林道の歴史

第二次世界大戦以前は、木材の伐採に必要な資材や人員の輸送は、人力に頼ることがほとんどでした。木材の搬出も、木馬や筏流し、森林鉄道などが主流でした。当時の林道は、人が通行できる程度の規模のものがほとんどで、現在では登山道として利用されたり、山林中に痕跡を残すのみとなっています。

日本で本格的に林道整備が進められたのは1950年代頃で、木材需要の急増や電力開発が背景にありました。トラックの普及により森林鉄道は1960年代に姿を消し、索道も1980年代後半には減少しました。1980年代までは、林道は一時的に整備されることが多く、伐採後に林地に戻されることもありました。しかし、1980年代半ば以降は、急勾配でも作業可能な車両が登場し、急斜面でも高密度に林道が整備されるようになりました。

2000年代に入ると、全国一律の林道密度目標から、森林を目的別にゾーニングし、地域ごとに密度を変える方針に転換しました。2010年代からは、林道の中でも作業道を「林業専用道」と「森林作業道」に分類するようになりました。

各国の林道密度

2004年度の森林1ヘクタールあたりの林道密度は、以下の通りです。

ドイツ：45.9メートル
オーストリア：44.8メートル
アメリカ合衆国：23.2メートル
スウェーデン：18.6メートル
日本：12.5メートル

ヨーロッパの国々と比較して、日本の林道密度は低い水準にとどまっています。

林道の種類

林道には、様々な種類があります。

大規模林道（緑資源幹線林道）：林業圏域の中核となる大規模な林道で、幅員が広く、観光道路としても利用されます。
特定森林地域開発林道（スーパー林道）：かつて建設された高規格林道で、現在は市町村道などになっていることが多いです。
ふるさと林道：過疎が進む山間地を連絡するために建設される林道で、市町村道の代替としての役割も担っています。
広域基幹林道：地域間の連携を強化する目的で整備される林道です。
併用林道：市町村が管理し、一般車両の通行が可能な林道です。
* 一般補助林道：森林所有者や地方自治体が開設する林道で、勾配がきつく悪路であることが多いです。また、不法投棄や路盤の荒廃を防ぐため、ゲートが設置されることがあります。

林道における課題

林道は、森林の保全や林業の発展に不可欠なインフラですが、一方で課題も抱えています。例えば、一般補助林道では、不法侵入やゲートの破壊といった問題が発生しており、管理者の負担となっています。また、林道の整備や維持管理には多額の費用が必要となるため、効率的な運用が求められます。

まとめ

林道は、森林の多面的な機能を維持し、林業を支える重要な役割を担っています。しかし、その整備や管理には多くの課題があり、関係者の協力と適切な対策が不可欠です。本記事が、林道に関する理解を深める一助となれば幸いです。

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