荻野博

荻野 博（おぎの ひろし）について

荻野博は1938年に島根県で生まれた日本の著名な無機化学者であり、東北大学名誉教授として知られています。彼は、主に無機化学における研究を行い、特に錯体化学の分野での貢献が評価されています。さらに、放送大学では副学長を歴任し、学術界における多角的な活動を展開しました。

学歴とキャリアの歩み

荻野は1960年に東北大学理学部化学科を卒業し、その後、1962年に同大学院の理学研究科化学専攻を修了しました。修了後は東北大学理学部の助手としてキャリアをスタートし、1966年には講師、1968年には助教授に昇進しました。そして1970年には、日本化学会進歩賞を受賞し、その名声を高めました。

1983年からは教授として長い間教壇に立ち、教育と研究の両分野で多くの学生に影響を与えてきました。また、1990年にはフィリピン大学などの連合大学院の客員教授を務め、国際的な視点からも化学教育の発展に寄与しました。

さらに、1994年には日本化学会の理事や東北支部長を務め、1995年には日本分析化学会の東北支部長に就任しました。1997年には錯体化学会の会長を務め、1999年には東北大学理学部長として大学の発展にも貢献しました。2000年からはケイ素化学協会の会長も務めるなど、専門的な組織においてもリーダーシップを発揮しました。

2001年には放送大学宮城学習センターの所長に就任し、同年には日本化学会賞を受賞しました。2007年には放送大学副学長に就任し、その後も化学界での功績が評価され続けています。2011年度には錯体化学会功績賞を受賞し、2016年には瑞宝中綬章を授与されました。

教育と著作活動

荻野は教育者としても非常に多才で、多くの著書や教科書を執筆しています。著書には、『金属酵素の錯体化学』や『典型元素の化合物』、さらには共著による『基礎化学』や『基本無機化学』などがあり、これらの書籍は学生や研究者に幅広く読まれています。特に『金属酵素の錯体化学』は、無機化学の重要なテーマに関連する知見を提供しており、評価が高いです。

また、彼は翻訳書も多く手がけており、国際的な科学的知識を日本の研究者や学生に伝える役割も果たしています。代表的な翻訳書には、J.H.エスペンソン著の『化学反応の速度と機構』や、バトラー、ハロッド著の『無機化学』があります。さらに、近年ではDVD『ケイ素の化学-シリコンとシリコーン-』も制作し、多様なメディアを通じて化学に対する関心を高める活動を続けています。

まとめ

荻野博は、その長いキャリアを通して無機化学と錯体化学に関する多くの業績を残し、化学教育の向上に尽力してきました。彼の研究や著作は、今後も多くの科学者や学生にとって貴重な資源となることでしょう。

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