菅沼曲水

菅沼曲水

菅沼曲水（すがぬま きょくすい）は、万治2年（1659年）に近江国膳所（現在の滋賀県大津市）で生まれた武士であり、俳人としても名を残しました。曲翠（きょくすい）とも呼ばれます。

本名は菅沼定常（すがぬま さだつね）。通称は外記（げき）、別号を馬指堂（うまさしどう）と称しました。菅沼定澄（すがぬま さだずみ）の子であり、徳川家康に仕えた菅沼定盈（すがぬま さだみつ）の曾孫にあたります。膳所藩（本多家）では中老という重職を務め、近江蕉門（おうみしょうもん）の重鎮として、松尾芭蕉を経済的に支援しました。

人となり

江戸在府中に芭蕉の門人となり、芭蕉から「只者にあらず」と評されたと伝えられています。著書「幻住庵記」には「勇士曲水」と記されており、その清廉な人柄が窺えます。

芭蕉との交流

「奥の細道」の旅を終えた芭蕉は、元禄3年（1690年）に初めて近江膳所を訪れました。その際、曲水は伯父である菅沼定知（すがぬま さだとも）の別荘を手入れし、芭蕉に避暑地として提供しました。これが幻住庵（げんじゅうあん）です。芭蕉はここに4月から7月まで滞在し、「石山の奥、岩間のうしろに山あり、国分山といふ」という書き出しで有名な「幻住庵記」を著しました。

最期

享保2年（1717年）、不正を働く家老・曽我権太夫（そが ごんだゆう）を槍で刺殺し、自らも切腹して果てました。その墓は義仲寺（ぎちゅうじ）にあります。

作品

おもふこと だまってゐるか ひきがえる
念入れて 冬からつぼむ 椿かな

関連事項

猿蓑
高橋喜兵衛（怒誰）（曲水の実弟。共に芭蕉をサポートした）
本多康命
新城藩
菅沼氏
菅沼耕月
竜が丘俳人墓地
曽我権太夫

関連書籍

* 「風狂の人〜菅沼曲水〜」2007年 文芸社

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