菅野了次

菅野 了次について

菅野了次（かんの りょうじ）は、1956年1月生まれの日本の無機化学者で、東京工業大学で全固体電池研究センターのセンター長および特命教授を務めています。また、東京工業大学名誉教授でもあります。元々は固体イオニクス学会の会長を務めた実績もあります。

人物と経歴

兵庫県に生まれた菅野教授は、1978年に大阪大学理学部の化学科を卒業し、その後も同大学の大学院で無機及び物理化学を専攻して博士前期課程を修了しました。1980年からは三重大学工学部資源化学科において助手としてキャリアをスタートさせ、1985年には大阪大学より理学博士の学位を取得しました。

続いて、1989年に神戸大学理学部の化学科助教授に就任し、1991年からは文部省の在外研究員としてオレゴン州立大学での研究にも従事しました。その後、1995年に東京工業大学工業材料研究所の助教授に異動し、1999年には高エネルギー加速器研究機構の物質構造科学研究所およびパリ第11大学の招聘教授の職務も兼任するなど、広範な分野で活動を展開してきました。

2001年には東京工業大学大学院の総合理工学研究科で教授に昇進し、その翌年には京都大学化学研究所にも客員研究領域教授として迎えられます。2016年からは物質理工学院の副学院長を担い、2018年には科学技術創成研究院において全固体電池研究ユニットのリーダーに就任。それに伴って固体イオニクス学会の会長としてもの役割を果たしました。2021年には名誉教授の称号を得ると同時に、全固体電池研究センターのセンター長や特命教授としてその活動を続けています。

研究分野

菅野教授の主な研究テーマは、全固体電池材料やその関連技術に関するものです。これに関する専門的な知識と技術の発展が、電池の効率や安全性の向上に繋がっています。彼の研究は、新しいリチウム固体電解質やその応用に特化しており、それに関する著作も多く発表されています。特に、2002年に発表した書籍「New lithium solid electrolytes, thio-LISICON」は、その材料設計のコンセプトや、固体電池への応用についての重要な情報を提供しています。

受賞歴

菅野教授はその研究成果により多くの賞を受賞しています。1988年には電気化学協会の佐野賞、1989年には日本化学会進歩賞を受賞し、2010年には粉体粉末協会進歩賞およびAmerican Ceramic SocietyのSpriggs Phase Equilibria Awardを受けました。さらに、2016年には粉体粉末冶金論文賞、加藤記念賞を受賞し、2017年にはThe Electrochemical SocietyのBattery Division Research Awardを受賞しました。

その後も受賞は継続し、2020年には市村学術賞本賞、2021年には電気化学会学会賞（武井賞）および文部科学大臣表彰科学技術賞を獲得するなど、多岐にわたる分野においてその功績が評価されています。

趣味

学問に励む傍ら、菅野教授の趣味は音楽鑑賞です。彼の豊かな感性と知識は、音楽と科学の両分野での素晴らしい成果に結びついています。彼の軌跡は、科学界における情熱と努力の象徴といえるでしょう。

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