菅野矢一

菅野 矢一について

菅野矢一（すがのやいち）は、1908年1月19日に山形市に生まれた、日本を代表する洋画家の一人です。彼の本名は彌一であり、芸術に対する情熱と才能が早くから発揮されました。山形商業学校を中退した後は、小学校の代用教員や会社員として働きながら、次第に画家としての活動を志すようになります。特に、彼が上京してからの画家としての道のりが始まりました。

初めに彼が学んだのは川端絵画研究所です。ここでの学びを通じて、彼は自身の画業に必要な技術や表現力を養いました。彼が画家として一歩を踏み出したのは、1936年の文展鑑査展で「黒牛」という作品が初めて入選したときです。この入選は、彼の名を広く知らせるきっかけとなり、さらなる挑戦を促しました。

その後、1939年からは安井曾太郎に師事することで、彼の画風は大きく変化していきます。1940年には一水会展に初入選し、以降の展開を考えると、彼のキャリアの重要なステップとなりました。この時期に得た教えや経験は、彼の創作活動において非常に重要な影響を与えたのです。

1953年、菅野はフランスに渡り、グラン・ショーミエールでゴエルグやクラヴェといった著名な画家の指導を受けることで、さらなる成長を遂げます。国外での経験は、彼の視野を広げるとともに、様々なアートスタイルと技法を吸収する機会となりました。彼は1954年に日本に帰国し、その後は日本の展覧会に頻繁に参加し、数多くの入選を果たしました。

特に日展においては、評議員や参事、さらには顧問としても活動し、日本の美術界において重要な役割を果たしました。彼の作品は多くの評価を受けており、1982年には「くるゝ蔵王」により日本芸術院賞を受賞しました。さらに、1986年には日本芸術院の会員となり、彼の地位は不動のものとなりました。

菅野矢一の作品は、個性的なスタイルと深い情感、そして色彩の美しさで知られ、多くの人々に愛されました。彼の画集である『菅野矢一画集』（日動出版部 1990）には、彼の代表作や作品解説が収められており、後世への重要な資料となっています。

1991年6月15日に彼は亡くなりましたが、その芸術的遺産は今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の作り上げた作品群は、日本洋画の歴史において欠かせない存在であり、多くの美術愛好家、そして次世代のアーティストにとってのインスピレーションとなっています。

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