菊地常夫

菊地常夫七段：波瀾万丈の棋士人生

1949年6月11日生まれの菊地常夫氏は、静岡県熱海市出身の将棋棋士です。2008年の引退まで、将棋界で活躍した彼の生涯を振り返ってみましょう。

奨励会時代：ライバルとの切磋琢磨

10歳で将棋を始めた菊地氏は、1965年に奨励会に入会します。当時、ライバルであった有野芳氏と、1日に100局もの将棋を指すなど、並々ならぬ努力を重ねていました。旧制度の三段リーグでは、9期・4年半もの間、四段昇段を果たすことができませんでした。しかし、その間も実力は着実に伸び、1971年度には第15回古豪新鋭戦で優勝するという快挙を成し遂げています。

プロ入りと順位戦での活躍

三段で12勝3敗の好成績を残した菊地氏は、1975年6月19日、26歳でプロ棋士となります。プロ入り1年目は、十段戦や王座戦で一次予選を突破するなど、華々しいデビューを飾りました。しかし、その後順位戦が1977年度に再開されるまで待たされることになります。この間に、菊地氏と同時にプロ入りした棋士は15名にも及び、その中には後にタイトルを獲得する谷川浩司氏や田中寅彦氏も含まれていました。激化する競争の中、菊地氏は初参加のC級2組順位戦で10戦全勝という圧倒的な成績を収め、1期でC級1組へ昇級。1977年度には、全棋戦を通して27勝という高い勝率を記録しました。1988年度の竜王戦5組では師匠である廣津九段を破るなどして3位となり、4組へ昇級しました。1996年度には全棋戦で16勝を挙げ、久々に勝ち越しました。しかし、1998年には順位戦でフリークラスに陥落。その後10年間、順位戦への復帰を果たすことができず、2008年に引退しました。

棋風と人物像

菊地氏の棋風は、居飛車、振り飛車ともに指しこなすオールラウンダー型でした。四間飛車、矢倉、三間飛車を得意とし、攻守のバランスがとれた、どちらかというと受け将棋を得意としていました。

私生活では、吉本興業所属のお笑いコンビ「さわやかだいちゅき」のふみお氏（菊地史夫氏）を息子に持ちます。ふみお氏は将棋を趣味としており、第1期吉本芸人将棋最強トーナメントではベスト4まで進出しています。2018年には、テレビ番組の企画で15年ぶりに父子再会を果たしています。番組出演をきっかけに再婚した女性が、菊地氏の最期を看取ったとのことです。

晩年と死去

2000年には現役勤続25年表彰を受賞しました。2022年5月23日、72歳で永眠しました。

まとめ

菊地常夫七段は、奨励会時代からの努力、プロ入り後の活躍、そして晩年まで将棋への情熱を燃やし続けた棋士でした。彼の棋士人生は、多くの将棋ファンに感動と記憶を残すことでしょう。息子のふみお氏とのエピソードも、彼の温かい人柄を伝えるものとなっています。

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