菊地敦己

菊地 敦己（きくち あつき）

1974年生まれの日本のグラフィックデザイナー、アートディレクター。東京都町田市出身。ブランド計画からグラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、サイン計画に至るまで幅広い領域で活動し、特に美術、ファッション、建築といった文化的な分野における仕事で高く評価されている。日本グラフィックデザイン協会（JAGDA）の亀倉雄策賞、JAGDA賞、東京アートディレクターズクラブ（東京ADC）のADC賞など、数々の著名なデザイン賞を受賞。現在、東北芸術工科大学の客員教授も務めている。

経歴

東京都町田市に生まれた菊地敦己氏は、武蔵野美術大学彫刻学科に進学したが中途退学。在学中の1995年にデザインユニット「ネオスタンダードグラフィックス」を共同で設立し、デザイナーとしての活動を開始した。2000年には「ブルーマーク」を設立して活動を継続。ブルーマーク解散後の2011年には自身の名を冠した「株式会社菊地敦己事務所」を設立し、現在に至るまで多岐にわたるデザインワークを手がけている。

活動とデザインの特徴

菊地氏のデザイン活動は多岐にわたり、企業やブランドのアイデンティティを構築するブランド計画、VI (Visual Identity) デザイン、空間における情報伝達を設計するサイン計画、書籍や雑誌などのエディトリアルデザインなどを中心に行っている。

特に、美術展やファッションブランド、建築関連のデザインなど、文化や芸術に関連する分野での仕事が多いことが特徴。情報の本質を捉え、シンプルかつ力強い表現で伝達する洗練されたスタイルが彼のデザインの特徴として挙げられる。

主な受賞歴

その優れたデザインワークにより、国内外の主要なデザイン賞を数多く受賞している。

日本グラフィックデザイン協会 (JAGDA)

JAGDA新人賞（2006年）
JAGDA賞（2012年、2014年、2015年、2016年、2018年、2019年、2020年、2022年）
亀倉雄策賞（第22回、2020年）

東京アートディレクターズクラブ (東京ADC)

ADC賞（2006年）
原弘賞（2018年）

その他の主な受賞

第39回造本装幀コンクール 日本印刷産業連合会会長賞（2005年）
第44回講談社出版文化賞ブックデザイン賞（2013年）
TDC特別賞（2021年）
日本パッケージデザイン大賞2017 大賞（2017年）

これらの受賞歴は、菊地氏がグラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、ブックデザイン、パッケージデザインなど、幅広い分野で高い専門性と創造性を発揮していることの証と言える。

代表的な仕事

菊地氏が手がけた仕事の中でも、特に評価の高い代表的なプロジェクトをいくつか紹介する。これらの多くが前述の受賞につながっている。

「野蛮と洗練　加守田章二の陶芸」関連（2020年）
- 展覧会告知物、図録など。亀倉雄策賞・JAGDA賞受賞。
「現在地：未来の地図を描くために」告知物（2020年）
- JAGDA賞受賞。
「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」関連（2019年）
- 展覧会告知物、図録など。JAGDA賞受賞。
「WANOBI」ブック（2018年）
- JAGDA賞受賞。
「日経回廊」ブック、エディトリアル（2016年）
- JAGDA賞受賞。
「はれ」VI（2015年）
- JAGDA賞受賞。
「ブックエキスプレス」VI（2013年）
- JAGDA賞受賞。

その他、著名な仕事として以下が挙げられる。

「ADC Annual」ブック
「亀の子スポンジ」プロダクト、パッケージ
「Sally Scott」
「青森県立美術館」VI、サイン計画
「大宮前体育館」VI、サイン計画
「BOOK PEAK」主宰

作品集

活動の軌跡は作品集としてまとめられている。

『PLAY』（誠文堂新光社、2009年）
『gggBooks 139 菊地敦己』（DNPアートコミュニケーションズ、2024年）

まとめ

現代日本デザイン界において重要な位置を占める菊地敦己氏。その活動はグラフィックデザインの枠を超え、ブランド構築から空間における視覚伝達、プロダクトデザインまで多岐にわたる。特に美術、ファッション、建築といった文化領域における質の高い仕事は、多くの人々から支持を得ている。主要なデザイン賞を多数獲得し、後進への教育にも力を入れるなど、その影響力は広がり続けている。

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