講談社出版文化賞

講談社出版文化賞

講談社出版文化賞は、講談社が主催し、特に挿絵、写真、装幀、絵本の各分野において優れた作品に贈られる賞です。対象となるのは、前年の3月1日から当年の2月末までに刊行された図書で、賞はさしえ賞、写真賞、ブックデザイン賞、そして絵本賞の四つの部門に分かれています。選考にあたっては、有識者や関連業界の人々にアンケートを用いた推薦を依頼し、受賞者には賞状や記念品に加え、副賞として各100万円が手渡されますが、賞金そのものはありません。

背景と歴史

この賞は、1970年に講談社が創業60周年を記念して新たに設立しました。その目的は、さし絵や写真、ブックデザイン、児童漫画、絵本などの新たな分野での開拓と質の向上を図り、広く出版文化を発展させることにあります。本賞の前身には、1960年に創設された「講談社三賞」があり、「児童まんが賞」、「さしえ賞」、「写真賞」の三つの部門が設けられていました。その後、1976年第7回を最後に児童まんが部門は講談社漫画賞として独立するまで続きました。さらに、1985年には科学出版賞が設立され、2006年までは一つの部門として続きましたが、2007年には講談社科学出版賞として改名され、現在も行われています。

2018年には野間出版文化賞の設立により、さしえ賞、写真賞、ブックデザイン賞は終了しましたが、絵本賞のみは講談社絵本賞の名称で引き続き継続されています。

各部門の受賞作

絵本賞

絵本賞は1970年から始まり、これまで多くの著名な作家や作品が受賞しています。初回の受賞者は中谷千代子で、『まちのねずみといなかのねずみ』が評価されました。以降の受賞者には斎藤博之の『しらぬい』や、田島征三の『ふきまんぶく』など、優れた絵本が数々選ばれてきました。最近の受賞作には、2024年の降矢ななの『クリスマスマーケット～ちいさなクロのおはなし～』があります。

科学出版賞

科学出版賞も1985年から始まり、さまざまな科学的テーマを扱った書籍が評価されています。代表的な作品には、青木重幸の『兵隊を持ったアブラムシ』や、近藤宣昭の『冬眠の謎を解く』などがあります。

さしえ賞や写真賞

さしえ賞や写真賞は、過去に多くの影響力のある作家や写真家が受賞してきました。さしえ賞では手塚治虫や真崎守が名を連ね、写真賞では大倉舜二や篠山紀信などが高く評価されています。

ブックデザイン賞

ブックデザイン賞は、装幀やデザインに優れた書籍に贈られ、多様なデザイナーやアーティストが受賞しています。初回受賞者には亀倉雄策が名を刻み、以来多くの優れた作品がこの賞に輝いています。

総括

講談社出版文化賞は、出版分野の多様性と質の向上を促すために設立され、多くの優れた作品や作者に光を当ててきました。各部門での受賞者たちは、今後の出版文化における新たな可能性を追求し続けるでしょう。

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