菊地敬一

菊地敬一（きくち けいいち）は、1948年2月12日に北海道新得町で生まれた日本の実業家であり、ヴィレッジヴァンガードの代表取締役会長として知られています。

生い立ちと学生時代

北海道新得高等学校を卒業後、青山学院大学法学部に進学。大学時代は、当時の学生運動の潮流とは一線を画し、勉学よりもアルバイトやジャズ喫茶通い、山登りに熱中する日々を送りました。大学生活に馴染めず、休学や留年を経験。一時、報道カメラマンを目指して写真の専門学校への進学も考えましたが、父親の反対により断念。大学卒業後は、先物取引会社や運送会社に勤務しましたが、いずれも長続きせず、日本実業出版社に営業職として入社しました。そこでは、飛び込み営業を中心とした直販セールスを担当しました。

書店経営への転身

結婚後、出版社の先輩であった大和田康司氏が経営する「ブックショップ大和田」に誘われ入社。当時唯一の従業員として、飛び込み営業の経験を活かし、自転車で一般家庭への外商活動を行いました。1980年には、新宿店の店長を任され、店舗運営のノウハウを習得。この時期に、士郎正宗の『アップルシード』のようなマイナーコミックを大量入荷するなど、実験的な店舗運営に取り組みました。

菊地は大和田氏を尊敬しており、「大好きな本を売るのがこんなにも楽しいとは天職だと思った」と語っています。また、熱心なクリスチャンであった大和田氏の理想主義的な考え方に感銘を受けたと述べています。

ヴィレッジヴァンガードの創業

その後、独立して名古屋で書店を開くため、北海道にいた妻と娘を呼び寄せ、住んでいたマンションを売却。妻の貯金、親からの借入、国の独立開業融資などを活用し、約2000万円の開業資金を調達しました。1986年、名古屋市天白区の農業用倉庫を改築し、「ヴィレッジヴァンガード」1号店をオープン。1988年には名古屋市名東区で有限会社「ヴィレッジヴァンガード」を設立。1998年には株式会社化し、2003年にはジャスダックに上場を果たしました。

現在、本社のある愛知県長久手市に在住しています。

多彩な趣味

菊地の趣味は多岐にわたります。読書は勿論のこと、ジャズ（特にソニー・ロリンズやビル・エバンスのファン）、登山、落語、1950年代から1960年代のオールディーズ、クラシックカーなどの古い外車を愛好しています。また、矢沢永吉の大ファンであり、名古屋の矢沢永吉ファンクラブのスペシャル会員でもあります。

著書と関連図書

著書に『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』があります。また、永江朗による関連図書『菊地君の本屋　ヴィレッジヴァンガード物語』も出版されています。

外部リンク

菊地敬一氏に関するインタビュー記事などが、インターネット上で公開されています。

菊地敬一は、型破りな経歴と独自の経営哲学で、ヴィレッジヴァンガードを唯一無二の書店として確立しました。その人生は、多くの人々に刺激を与え続けています。

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