菊地浩之

菊地浩之（きくち ひろゆき）は、1963年に生まれた日本の経営史学者であり歴史家である。

経歴

北海道で誕生し、転勤が多い家庭環境のため、20歳になるまでに13回もの転居を経験した。1986年に國學院大學経済学部を卒業後、ソフトウェア関連企業に勤務。その後、1994年頃から経営史学会での活動を開始し、学術論文を発表するなど、研究者としての道を歩み始める。2005年には明治学院大学で非常勤講師として教壇に立ち、同年には國學院大學より経済学の博士号を取得した。博士論文のテーマは「企業集団の形成と解体」であり、これが彼の主要な研究分野の一つとなった。

専門分野

当初からの専門は企業集団や企業系列の研究だが、その研究領域は次第に拡がっていった。日本の主要な財閥や同族企業の成り立ち、現代企業との関連性を深く掘り下げている。また、金融業界の再編や、戦後の長者番付から見る経済人の盛衰といった現代経済史のテーマも扱っている。さらに、近年では日本の歴史、特に武家社会における家臣団や家系図の研究にも力を入れており、織田家、豊臣家、徳川家といった戦国・江戸時代の著名な家系に関する著作も多数発表している。これらの研究を通じて、経済と社会構造、あるいは現代企業と歴史的な人間関係や組織構造との関連性を多角的に明らかにしている。

著書

菊地浩之氏は、その専門知識を活かした多数の著作を公刊しており、専門性の高い研究書から、一般読者向けの平易な解説書まで幅広い。彼の代表的な著作には、以下のようなものがある。

企業・経済関連
『企業集団の形成と解体 社長会の研究』（日本経済評論社、2005年）
『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』（平凡社新書、2009年）
『日本の15大同族企業』（平凡社新書、2010年）
『日本の地方財閥30家 知られざる経済名門』（平凡社新書、2012年）
『図解合併・再編でわかる日本の金融業界 メガバンク・メガ生損保・3大証券の興亡』（平凡社、2015年）
『日本の長者番付 戦後億万長者の盛衰』（平凡社新書、2015年）
『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』（角川選書、2017年）
『財閥と学閥 三菱・三井・住友・安田、エリートの系図』（角川新書、2025年）など

歴史・家系関連
『徳川家臣団の謎』（角川選書、2016年）
『織田家臣団の系図』（角川新書、2019年）
『徳川家臣団の系図』（角川新書、2020年）
『日本のエリート家系 100家の系図を繋げてみました』（パブリック・ブレイン、2021年）
『系図で読み解く 名門家系「家名存続」の生き残り術』（叶舎、2022年）
『徳川家臣団 三河武士総覧』（叶舎、2023年）など

これらの著作は、複雑な企業の組織構造や歴史上の家系図を、図解や分かりやすい言葉で解説しているものが多い。菊地氏の研究は、現代日本の経済構造がどのように形成されてきたか、そして歴史的な家系や組織がどのように存続・変遷してきたかを探求し、多角的な視点から日本の社会・経済の深層を解明するものである。

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