経営史

経営史

経営史は、企業などの組織の歴史を研究する学問分野です。特に、経営学の対象領域における歴史を扱います。経営史は、アメリカのビジネススクールで生まれ、日本においては日本経営史と外国経営史の2つに大別されます。

経営史の生い立ち

ビジネス・スクールの誕生

経営史は、ビジネススクール（経営大学院）の学問分野の一つとして誕生しました。最も古いビジネススクールは、1881年にペンシルベニア大学に設置されたウォートン・スクールです。その後、1908年にハーバード・ビジネス・スクールが誕生しました。初期のビジネススクールでは、経営学というよりは商学や経済学的な内容が研究・教育されていましたが、1920年頃から次第に経営学としての体系化が図られるようになりました。

経営史の誕生

学問としての経営史は、経営学、特に経営政策の発展の中から生まれました。大規模企業組織の生成発展の観点から経営学や経営政策を論じる必要性があったため、企業の発展をより長期的な視野で研究するために経営史が誕生しました。ハーバード・ビジネススクールの初代院長はE.ゲイであり、彼は当時のアメリカを代表する経済史家でもありました。

1927年、N. S. B. Gras（グラース）がハーバード・ビジネススクールに招かれ、ここで初めて経営史の講義を担当しました。当初は経済史的な色彩が濃いものでしたが、次第に独自の学問領域を構築していきました。その集大成が、1939年に発表されたGrasの著書『ビジネスと資本主義――経営史序説――』です。この著書では、ドイツ歴史学派の経済発展段階説の影響が見られ、彼は資本主義の発展を以下の5つに分類しました。

小資本主義（petty capitalism）
商業資本主義（mercantile capitalism）
産業資本主義（industrial capitalism）
金融資本主義（financial capitalism）
国家資本主義（national capitalism）

彼は、資本主義と企業経営の展開を総合的に観察しました。その後、ラーソンとの共著『米国経営史のケース・ブック』を出版しました。ラーソンの後、ハーバード・ビジネススクールの経営史の教授ポストを継いだのは、ハイディでした。ハイディは妻と共に『Pioneering in Big Business, 1882-1911:History of Standard Oil company』を著しました。

経営史学会

1964年、脇村義太郎を初代会長として経営史学会が設立されました。日本経営学会とは設立前から関連学会として協力関係にあり、1961年10月の日本経営学会第三五回大会（於名古屋大学）では経営史部門が設立されました。

参考文献

神戸大学経済経営学会編著『ハンドブック経営学[改訂版]』、ミネルヴァ書房、2016/4/11。ISBN 978-4623076734。
上林憲雄編著『経営学の開拓者たち: 神戸大学経営学部の軌跡と挑戦』中央経済社 (2021年)。ISBN 978-4502377518

関連項目

会計史
監査の歴史
商業史
* 日本経営学会

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