菊池恭三

菊池恭三（きくち きょうぞう）

菊池恭三（1859年11月9日 - 1942年12月28日）は、明治から昭和前期にかけて活躍した日本の紡績技術者、実業家、政治家です。大日本紡績（現ユニチカ）の社長を務め、貴族院勅選議員、工学博士としても知られています。幼名は文造。

生涯

伊予国宇和郡川名津浦（現在の愛媛県八幡浜市川上町）で、庄屋の家に生まれました。幼少期は藩校文武館などで学び、その後、大阪英語学校、工部大学校で知識を深めました。

1885年に工部大学校を卒業後、海軍省、大蔵省を経て、平野紡績に紡績技術者として迎えられます。その際、イギリス留学を条件とし、現地の紡績工場で研修を積みました。帰国後、平野紡績、尼崎紡績、摂津紡績という、当時の主要な紡績会社で要職を歴任し、技術指導を行いました。

1901年には尼崎紡績の社長に就任。その後も東洋紡織の創立に関わるなど、日本の紡績業の発展に大きく貢献しました。1918年には、摂津紡績と尼崎紡績が合併して設立された大日本紡績の社長に就任し、経営手腕を発揮しました。また、化繊時代を見据え、日本レイヨンの設立にも尽力しました。

実業界での活躍の傍ら、1926年には貴族院勅選議員に任じられ、政治の世界にも足を踏み入れました。その他、様々な企業の役員や協会の評議員などを務め、多方面で活躍しました。

1942年12月、慢性腎臓炎のため83歳で亡くなりました。

功績

菊池恭三は、日本の近代紡績業の発展に大きく貢献しました。イギリス留学で得た知識と技術を活かし、紡績工場の設立や技術指導を行い、日本の紡績業を世界レベルに引き上げました。また、経営者としても手腕を発揮し、大日本紡績を日本有数の紡績会社に育て上げました。

人物

菊池恭三は、向学心旺盛で、常に新しい知識や技術を吸収しようと努めました。また、行動力があり、自ら率先して事業を推進しました。その功績から、日本の紡績業の発展に貢献した偉人として、広く知られています。

栄典

藍綬褒章（1913年）
紺綬褒章（1921年）

親族

兄：赤松泰苞（初代畑地村長・愛媛県会議員）
弟：田中泰董（造船技術者）
四男：菊池文吾（日本レイヨン第2代社長）
五男：菊池辰雄（大阪トヨタ自動車社長）

もう一度検索