工部大学校

工部大学校 (こうぶだいがっこう)

工部大学校は、明治時代初期に工部省の工学寮として設立された日本初の工学教育機関です。この学校は、今日の日本の工業技術の基盤を築き、全体の工業発展に寄与した重要な機関です。現在の東京大学工学部の前身の一つとして知られています。

設立の背景と初期の計画

1871年、工部省内に工学寮が設立され、技術者育成を目的とした工学校の開設が提案されました。初代工学頭には工部少輔の山尾庸三が就任し、教育の中心は実践的な技術者を養成するために設計されたものでした。当初、学校は小学校と大学校に分かれる構想でしたが、実施は困難に直面しました。

その後、エドモンド・モレルの助言を受け、イギリスから教師を招聘することが決まります。1880年代初頭、正式に教育機関としての枠組みが形作られました。

大学方式への転換

1873年に、イギリスの教育モデルを基にした大学方式が採用されることになります。英国のランキン教授やヘンリー・ダイアーの協力を得て、カリキュラムが構築され、土木、機械、造家など6学科が設立されました。教育方法は、半年間の講義と実習を交互に行う「サンドウィッチ方式」が採用され、実地訓練も重視されました。

開校とその後

1873年11月、工部大学校は正式に開校し、最初の入学生は仮校舎で学びました。1877年には名称が「工部大学校」に変更され、さらなる教育体制の整備が行われます。また、多くの授業が英語で行われたため、優秀な外国人教師の任用も図られました。

校舎建築と施設

初期の工部大学校は、それを支えるための校舎の建設が急がれました。山尾庸三は、工部省の測量士として自らが指揮をとり、イギリスの建築様式を取り入れた校舎が建設されました。1886年に本館が完成した際には、世界的にも卓越した工学教育機関と評価されていました。

教育の特色と教員

工部大学校では、優れた外国人教員が揃い、学生は実践的な技術を身につけました。特に、測量、機械工学、電気工学など、多くの分野で技術者が誕生し、日本の工業界において重要な役割を果たしました。多くの卒業生は、その後日本の工業発展に寄与していきます。

沿革とその後

1886年、工部大学校は帝国大学令により東京大学工藝学部と合併し、さらに大きな組織へと成長します。工部大学校から育まれた技術者達は、日本の近代工業の礎としてさまざまな分野で活躍しました。

工部大学校は、技術者育成の重要な役割を果たしてきた教育機関として、次世代を担う若者たちに影響を及ぼし続けています。

もう一度検索