菊池貝類館

菊池貝類館：貝類愛好家の聖地、そしてそのその後

兵庫県西宮市に、かつて貝類専門の博物館「菊池貝類館」がありました。1984年の開館から2010年頃までの約26年間、多くの貝類愛好家や研究者を魅了したこの博物館は、医師であり貝類研究家でもあった菊池典男氏の情熱によって支えられていました。

菊池典男氏：医師と貝類研究家の二足のわらじ

菊池典男氏（1915～2013年）は、西宮回生病院の院長を務める傍ら、世界各地を旅して貝類を収集していました。そのコレクションは約8000種にも及び、菊池貝類館ではその中から2000種が常設展示されていました。

特にユニークだったのは、展示ケースにガラスがなく、来館者が直接貝に触れることができた点です。200kgを超える巨大なシャコガイや、世界最大の巻き貝であるアラフラオオニシなど、様々な貝の重みや質感、細部まで観察することができたため、来館者に深い印象を与えていました。

氏の奄美諸島での医療活動も特筆に値します。米軍統治下の奄美諸島は、医療体制が著しく遅れていたため、菊池氏はそこで医療に貢献しました。その感謝の気持ちから、地元住民から多くの奄美諸島産貝類標本の寄付を受け、それがコレクションの大きな部分を占めることとなりました。

閉館とコレクションの未来

2010年頃、菊池貝類館は休館（事実上閉館）となりました。しかし、菊池氏の遺志により、約1万8000点にのぼる貴重な貝類コレクションは、故郷である西宮市に寄贈されることになります。

西宮市は、この寄贈を記念して「菊池典男コレクション展　西宮に生まれ、貝を追い求めた生涯」を開催し、多くの市民にコレクションを紹介しました。現在、西宮市貝類館は、このコレクションの学術的分類と保管に努めています。

菊池貝類館：記憶を継承する

菊池貝類館は閉館しましたが、そこで培われた知識と、菊池典男氏の情熱は、西宮市貝類館が受け継いでいます。この貴重な貝類コレクションは、未来の研究者や貝類愛好家にとって、重要な研究資源となるでしょう。 かつて多くの人々を魅了した菊池貝類館の記憶は、これからも西宮の地で生き続けることでしょう。

施設概要（旧菊池貝類館）

開館日：火・土・日・祝日（現在は閉館）
開館時間：午後1時～5時
所在地：〒662-0957 兵庫県西宮市大浜町1-41
アクセス：阪神本線香櫨園駅徒歩18分

周辺情報

西宮市貝類館
西宮市大谷記念美術館
* 辰馬考古資料館

もう一度検索