菊澤研宗

菊澤研宗（きくざわ けんしゅう）氏は、1957年6月20日生まれの日本の経営学者です。慶應義塾大学の名誉教授であり、現在は城西大学経営学部の特任教授を務めています。彼の専門分野は、新制度派経済学、ダイナミック・ケイパビリティ論、経営哲学、そしてコーポレート・ガバナンスと多岐にわたります。石川県羽咋市出身。

学歴と職歴

菊澤氏は、1976年に石川県立羽咋高等学校を卒業後、1981年に慶應義塾大学商学部を卒業しました。その後、同大学院に進学し、1983年に修士課程を修了。1986年には博士課程を単位取得退学しました。1988年に防衛大学校の講師となり、1991年には助教授に昇進。1992年にはニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスで客員研究員として1年間を過ごしました。1998年、慶應義塾大学から博士（商学）の学位を取得。1999年には防衛大学校の教授に就任しました。

2002年には中央大学専門職大学院国際会計研究科の教授となり、2006年には慶應義塾大学商学部・大学院商学研究科の教授として迎えられました。2012年から2年間、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールで客員研究員を務め、2023年に慶應義塾大学を定年退職。名誉教授の称号を得るとともに、城西大学経営学部の特任教授に就任しました。

研究分野と業績

菊澤氏の研究は、新制度派経済学を基盤とし、組織の行動や戦略を経済学的に分析することに特徴があります。特に、ダイナミック・ケイパビリティ論に着目し、企業が変化に対応し、競争優位を築くための能力を研究しています。また、経営哲学やコーポレート・ガバナンスといった、組織の倫理や制度設計に関する研究も行っています。

著書

菊澤氏は、数多くの著書を執筆しており、その多くが組織論や経営戦略に関するものです。単著としては、『市場と財務の相互作用論』(1992)、『日米独組織の経済分析』(1998)、『組織の不条理』(2000)、『比較コーポレート・ガバナンス論』(2004)、『業界分析　組織の経済学』(2006)、『組織の経済学入門』(2006)、『「命令違反」が組織を伸ばす』(2007)、『なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか』(2007)、『戦略学』(2008)、『組織は合理的に失敗する』(2009)、『戦略の不条理』(2014)、『なぜ改革は合理的に失敗するのか』(2011)、『ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー』(2015)、『成功する日本企業には「共通の本質」がある』(2019)、『指導者（リーダー）の不条理』(2022)などがあります。

これらの著書では、組織の意思決定、戦略形成、リーダーシップなど、経営学における重要なテーマが、経済学的な視点から分析されています。特に、「組織の不条理」というテーマは、菊澤氏の研究を象徴するものであり、組織が合理的な判断を妨げるメカニズムを解き明かしています。

また、編著としては『組織の経済学―業界分析　新制度派経済学の応用』(2006)、『企業の不条理―「合理的失敗」はなぜ起こるのか』(2010)、『ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論』(2018)があります。これらの編著では、様々な研究者と共同で、組織論や経営戦略に関する研究を深めています。

受賞

菊澤氏は、2004年に第1回経営学史学会賞を受賞しており、その研究業績は広く認められています。

外部リンク

菊澤研宗 - researchmap
菊澤研宗 - J-GLOBAL
菊澤研宗 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
研究者総覧 - 城西大学
研究者総覧 - 慶應義塾大学
菊澤ゼミHP

菊澤研宗氏は、理論と実践の両面から経営学の発展に貢献している、現代日本を代表する経営学者の一人と言えるでしょう。

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