菊綴

菊綴（きくとじ）について

菊綴（きくとじ）は、日本の伝統的な武道具や衣装に見られる装飾技法の一つで、特に水干や鎧直垂に取り付けられることが多い飾りです。この飾りは、単に装飾として存在するだけでなく、金具や縫い合わせの部分を補強し、引裂けを防ぐ役割も果たしていました。

菊綴の起源と機能

かつて、菊綴は組紐を縫い目に通して結びつけることで作られていました。この結び目の残り部分が菊の花に似ていることから、この名称が付けられました。時が経つにつれ、実用性よりも美しさが重視され、装飾的な要素が強くなっていきました。現在では、さまざまな色や形状の菊綴があり、それぞれのデザインが個性を引き立てています。

菊綴の種類と形状

菊綴には、特に「結び菊綴」と呼ばれる形式が存在します。これには「も」の字形に似た形状があり、通常の直垂には絹の組紐が用いられ、素襖直垂には細い皮製の紐が使われることが一般的です。このように、素材の違いによってもその印象は大きく変わります。

付属箇所と配置

菊綴は、具体的にどのような箇所に配置されるのかを見ていきましょう。以下のような細かい配置が行われます。

水干の場合

• - 前: 中央上方に配置
• - 後: 胴部分と左右両袖の間の裂目、左右両袖の中間裂目に設けられ、合計で10個が縦並びに2個ずつ設けられます。

水干袴の場合

• - 左右: 脇部分と股立ちの部分
• - 前: 左右太物の上部分
• - 合計: 8箇所が2個ずつ設けられます。

鎧直垂の場合

• - 前: 衿部分に設けられることが多く、具体的な数は様式によって異なります。
• - 後: 背面上方の中央裂目、胴と左右両袖の間の裂目、さらに左右両袖の中間裂目にも配置されます。
• - 合計: 10箇所でそれぞれ2個設けることが一般的です。

鎧直垂袴の場合

水干袴と同じく左右脇と股立ち部分に配置され、合計8箇所で2個ずつ設けられます。

まとめ

このように、菊綴は日本の伝統衣装や武具において非常に重要な役割を果たしている要素です。単に美しさを追求するだけでなく、実用性も含まれていることがその魅力でもあります。相撲の行司の服装など、菊綴の色や形式によってその地位や役割が異なることも一つの特徴です。日本の文化や歴史の中で菊綴は様々な形で受け継がれ、現在もその美しさと意味を持ち続けています。

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