菟玖波集

菟玖波集について

『菟玖波集』（つくばしゅう）は、南北朝時代に作られた日本の連歌集であり、20巻から構成されています。収められている句は2190句に及び、紀元1356年に二条良基を中心に編纂されました。この集は、当時の勅撰和歌集の形式を踏襲しつつ、連歌という独自の文学形式の発展を示しています。

構成と歴史的背景

この連歌集が成立した背景には、二条良基の連歌師たちへの支援がありました。特に、1357年の閏7月11日に勅撰に準じると認定されたことにより、初めての准勅撰連歌集としての地位を確立しました。連歌の受容において重要な役割を果たしたのは、佐々木道誉の貢献でもあります。出詠者には皇族や公家、さらには武将の足利尊氏や義詮、佐々木道誉が名を連ねており、これによって連歌の幅広い層への浸透が促されました。

文化的側面

『菟玖波集』の特筆すべき点は、古今の連歌が併せて収められているため、歴史的な連歌の変遷を知る貴重な資料となっていることです。連歌は、当初和歌の一部と考えられていましたが、この集の成立によって、連歌は和歌とは別の文化として独立する道を歩むことになります。これにより、連歌はiiその自己完結した文化として、新しい文芸ジャンルとしての地位を確立しました。

主な作者とその作品

この連歌集に名を連ねる作者は、明らかにされている人物が450名に達し、その多くが鎌倉後期以降の著名な詩人たちです。特にイントロを飾る上位5名には、救済（127句）、二品法親王尊胤（90句）、二条良基（87句）、佐々木道誉（81句）、足利尊氏（68句）がいます。この面々は、連歌集の成立に重要な役割を果たした人物たちです。

結論

『菟玖波集』は、南北朝時代の日本文学における重要な作品であり、連歌という形式がどのように発展し独自の文化として認識されるようになったかを示した資料です。その豊かな内容や多様性は、今なお研究対象として注目され続けています。この作品を通じて、日本の文学史における連歌の持つ意義や位置づけを再評価する機会となるでしょう。

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