菩提寺 (岐阜県垂井町)

菩提寺は、岐阜県不破郡垂井町に位置する真言宗の寺院で、本尊は十一面観世音菩薩です。山号を一乗山と称し、古代豪族である伊福部氏の菩提寺として、その歴史を刻んできました。また、美濃三十三観音霊場の旧札所としても知られ、多くの信仰を集めています。

寺の創建は古く、天長元年3月3日（824年4月5日）に、伊福部氏が弘法大師空海を開基として迎え、菩提山山上に開かれたと伝えられています。その後、天長5年10月3日（828年11月13日）には定額寺に列せられ、寺格を高めました。しかし、外護者を失い、兵火に見舞われるなどして寺は荒廃の一途を辿ります。長い年月を経て、天文8年（1539年）に祐運和尚によって山麓に移され、中興されました。これにより、菩提寺は新たな歴史を歩み始めました。さらに、寛永年間には、当時の領主であった竹中氏によって本堂が再建され、伽藍が整備されました。江戸時代に入り、美濃西国観音霊場が開かれると、菩提寺は16番札所として多くの巡礼者を集め、信仰の場として重要な役割を果たしました。

菩提寺は、創建以来、幾多の変遷を経て現在に至りますが、その間、地域の信仰の中心として、また歴史的遺産として、貴重な存在となっています。現在も、静寂な境内に佇む本堂や観音像は、訪れる人々に安らぎを与え、歴史と文化の重みを感じさせてくれます。

参考文献：
不破郡教育会『不破郡史　下巻』

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