菱 (樅型駆逐艦)

駆逐艦「菱」(初代)の艦歴

駆逐艦「菱」は、大日本帝国海軍の樅型駆逐艦の16番艦として製造されました。同名の艦艇に橘型駆逐艦「菱」が存在するため、初代の艦船は「菱 (初代)」や「菱I」といった名称で識別されています。

起工から竣工まで

「菱」の起工は1920年11月10日に浦賀船渠で行われ、わずか数ヶ月後の1921年5月30日には進水を迎えました。艦艇の竣工は1922年3月23日で、海軍の一員として正式に任命されました。

日中戦争への参加

「菱」は、1937年から1938年にかけての日中戦争時に華北沿岸での作戦に従事しました。この期間中には、艦艇の運用や戦術が重要な役割を果たし、戦況の変化に応じた作戦遂行が求められました。

役割の変遷

1940年には、艦艇の役割が哨戒艇へと変更され、名称も第三十七号哨戒艇に改称されました。このように名称が変わることは、艦艇が時代の要求に応じた役割を持つことを意味しています。

太平洋戦争における任務

艦艇「菱」は、太平洋戦争に突入してからは特に南方での海上護衛や哨戒作戦に従事しました。1942年1月24日、バリックパパン攻略戦では、米海軍の駆逐艦4隻との交戦がありました。この戦闘では、被雷して大破するという厳しい事態に直面しましたが、その時点での任務を遂行し続けました。

除籍とその後

「菱」は、1942年4月10日に除籍され、その後、バリックパパン港の防空用に船体が残置されました。このような形で艦艇が運用される姿は、戦時中の資源の効率的な管理や戦力の保全という観点からも重要です。

艦長の履歴

「菱」の艦長は、艤装員長時代から数名が就任しました。代表的な艦長には、今泉美啓少佐が初代艦長として1922年から1932年まで任務を担いました。その後には高橋忠治少佐、山田梅蔵少佐などが続き、艦艇の運用や戦術面で貢献しました。

この艦は、日本の海軍の歴史において重要な役割を果たし、多くの艦長や乗員の努力によって支えられてきました。「菱」の歴史を通じて、日本の海軍力や艦艇の運用哲学を知ることができるのです。

文献・資料

この艦艇に関しては、海軍制度に関する文書や日本海軍史など、多くの資料が存在しています。特に、海軍歴史保存会の『日本海軍史』や、片桐大自による著作は、艦艇の詳細な歴史を知る上で非常に価値のある情報源です。これらの資料から、駆逐艦「菱」の歴史とその運用の様子を学ぶことができます。

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