萩原弥惣治

萩原 弥惣治（はぎわら やそうじ）氏は、1933年（昭和8年）9月22日に群馬県勢多郡城南村（現在の前橋市）に生まれ、日本の政治家として活動しました。群馬県立勢多農林高等学校で学び、郷里である前橋市を中心にその政治キャリアを築き上げました。その経歴は、前橋市議会議員を3期10年、群馬県議会議員を5期17年、そして前橋市長を2期8年務めるなど、多岐にわたります。また、群馬県議会議長や、従四位の位階を贈られるなど、その功績は高く評価されています。

政治家としての道のりは、まず1969年に前橋市議会議員選挙での初当選から始まりました。市議会議員として3期10年間、地域の声に耳を傾け、市政の基礎に関わりました。その後、1979年には群馬県議会議員に活動の場を移し、5期17年という長期間にわたり県政に携わります。県議時代には、1995年5月16日から同年12月14日まで第68代群馬県議会議長の大役を担い、議会運営の責任者として手腕を発揮しました。

県議会議員としての豊富な経験を積み、1996年には前橋市長選挙に挑戦し、見事に初当選を果たしました。市長として、彼は前橋市の発展に向けた様々な政策を推進しました。特に、中心市街地の活性化に関わる8番街地区の市街地再開発事業からの撤退という、都市計画における重要な決断を下しています。また、市東部地区の農業振興にも力を入れるなど、多様な分野でリーダーシップを発揮しました。2000年の市長選挙では、対立候補であった小野寺慶吾氏を退け、二期目の当選を果たし、引き続き市政を担うことになります。

しかし、三期目への挑戦となった2004年の市長選挙では、自民党、公明党、社民党、民主党からの推薦を得て優位な立場にあると見られていましたが、元群馬県議会議長の高木政夫氏に惜敗するという結果に終わりました。この選挙での現職市長の落選は、前橋市政が始まって以来初めての出来事であり、大きな注目を集めました。この敗北を受けて、萩原氏は政界からの引退を表明し、長きにわたる政治活動に幕を下ろしました。

政治家としての活動に加えて、様々な公的な要職も歴任しました。社団法人全国保健センター連合会の会長、前橋工業団地造成組合の管理者、前橋広域市町村合併協議会の会長、国土審議会首都圏整備特別委員会の委員、前橋広域市町村圏振興整備組合理事長など、その役職は多岐にわたり、幅広い分野で地域社会や国の発展に貢献しました。また、彼は政治活動の傍ら、柔道家としても知られていました。

政治姿勢としては、県議時代は特定の政治グループに属して活動し、市長就任後は当時の群馬県知事であった小寺弘之氏に対し対立姿勢を示す場面も見られました。2002年には自身の半生や政治観を綴った自伝「生涯青春・本音で語れば」（あさを社）を刊行し、市内の有権者に無償で配布したことで、一部メディアから指摘を受けるといった出来事もありました。

政界引退後は、公の場に出る機会は減りましたが、2009年春には長年の地方自治への貢献が認められ、旭日中綬章を受章しています。

晩年は健康を損ない、2021年3月11日に大腿骨を骨折し前橋市内の病院に入院。その後肺炎を併発したため別の病院に転院して治療を続けましたが、同年4月5日、肺炎により87歳で逝去しました。その逝去日に遡って、長年の功績に対し従四位の位階が贈られました。彼の政治活動と地域への貢献は、前橋市の歴史に刻まれています。関連人物として、上野公成氏が挙げられます。

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