萩原麻子

萩原 麻子

萩原 麻子（はぎわら まこ）は、1992年3月27日に愛知県春日井市で生まれた、日本の元女子プロ野球選手です。

陸上競技からプロ野球への道

中学生の頃に陸上競技のやり投を始めました。中学3年生の時には、ジャベリックスローという種目で愛知県ジュニアオリンピックに出場し、決勝まで進出する実力を見せました。

豊田大谷高校に進学後もやり投を続け、2008年にはインターハイの愛知県予選で優勝を果たしました。しかし、全国大会では目標としていた成績には届きませんでした。翌2009年も愛知県予選で2連覇を達成し再び全国の舞台に挑みましたが、やはり上位進出は叶いませんでした。その後、日本ジュニア選手権では12位という記録を残しています。

高校卒業後の進路を考える際、大学への特待生としての進学が難しい状況であったため、「親に経済的な負担をかけたくない」という思いから就職を視野に入れていました。そのような折、所属していた陸上部の監督から「球技のセンスがある」と勧められたことをきっかけに、思いがけない転機が訪れます。

野球未経験からのプロ入り

監督の勧めに背中を押され、日本女子プロ野球機構が実施した第1回合同トライアウトを受験しました。そして、見事に合格を勝ち取ります。特筆すべきは、彼女が硬式野球や軟式野球はもちろんのこと、ソフトボールでさえ本格的な経験がなかったにも関わらず、プロ野球選手への道を切り開いたことです。これは当時、大きな話題となりました。

2009年12月に行われたドラフト会議の結果、兵庫スイングスマイリーズへの加入が決定しました。

選手としてのキャリアと引退

プロ選手としてのキャリアは、必ずしも順風満帆ではありませんでした。十分な出場機会を得ることが難しく、特に投手としては調整登板の機会すら恵まれない状況が続きました。そして、2011年オフに機構より戦力外通告を受けることになります。

しかし、彼女はここで野球への情熱を失いませんでした。育成選手としてチームに残留し、同時にユースチームの選手兼コーチとして若手の指導にもあたります。

2012年の後期シーズンからは、京都アストドリームスに移籍し、再びプロの舞台でプレーを続けました。しかし、その年の12月、現役からの引退を正式に発表しました。

引退後の活躍

現役引退後も、萩原麻子氏は女子プロ野球に深く関わり続けました。選手を支えるスタッフとして組織に貢献した後、2015年シーズンからは京都フローラ球団の代表に就任するという、異例のキャリアアップを果たします。球団代表として迎えたその年、京都フローラは「日本女子プロ野球リーグ2015」で優勝を飾ります。その功績が認められ、彼女は優勝球団代表者賞を受賞しました。

人物像

愛知県出身である萩原氏は、地元プロ野球球団である中日ドラゴンズの大ファンとしても知られています。また、プロ野球のトライアウトを受験した時点では、すでに自衛隊への就職が内定していましたが、プロ野球合格という新たな道を選び、内定を辞退したというエピソードも残されています。

選手時代の背番号は、兵庫スイングスマイリーズでは17番（2010年～2011年）、京都アストドリームスでは8番（2012年）でした。

競技経験がほとんどない状態からプロの世界に飛び込み、選手としては苦労を経験しながらも、引退後は球団代表としてチームを成功に導いた、そのユニークな経歴は多くの人々に記憶されています。

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