萩谷由喜子

萩谷由喜子氏は、日本の著名な音楽評論家です。東京都文京区に生まれ、立教大学経済学部を卒業されました。音楽評論家としての活動に加え、日本舞踊花柳流の専門部名取という一面も持ち、邦楽にも深い造詣をお持ちです。ミュージック・ペンクラブ・ジャパンの会員でもあります。

萩谷氏の主な活動は多岐にわたります。音楽雑誌においては、『音楽の友』『ショパン』『音楽現代』といった媒体を中心に、器楽や室内楽の演奏会評を多数執筆されています。また、数多くのCDのライナーノーツや、演奏会プログラムの解説も手がけ、クラシック音楽の聴衆に作品や演奏家への理解を深めるための手引きを提供しています。

専門的な研究分野としては、日本のクラシック音楽がどのように発展してきたかの歴史、そして歴史に名を連ねる女性音楽家に深い関心を持っています。特に、音楽家の人物伝に長けており、その生涯や業績を掘り下げた著作は高く評価されています。

これまでに発表された著書は多数あります。日本人として初めてヨーロッパで本格的な音楽教育を受けた姉妹の生涯を描いた『幸田姉妹』や、国際的なコンクールで活躍しながらも病に倒れたピアニストの足跡をたどる『田中希代子 夜明けのピアニスト』は、日本の音楽史における重要な人物に光を当てた代表作です。また、女性音楽家の人物伝としては、『五線譜の薔薇 音楽史を彩る女性たち』といった著作があり、埋もれがちな女性たちの貢献を紹介しています。さらに、クラシック音楽をより身近に感じさせる試みとして、作曲家や音楽家カップルに関する興味深いエピソードをまとめた『ひとり5分で読める作曲家おもしろ雑学事典』や『ひと組5分で読める音楽家カップルおもしろ雑学事典』（いずれもヤマハミュージックメディア刊）なども出版しており、幅広い読者層にクラシック音楽の魅力を伝えています。

執筆活動と並行して、萩谷氏は各地でクラシック音楽に関するレクチャー講座も積極的に開催しています。2007年には、中央区民カレッジで「今が聴きどき、クラシック!」と題した連続講座を担当したほか、ヤマハ主催のチェルニー没後150年記念講座や女性作曲家に焦点を当てた講座、立教大学レディースクラブでの「クラシックが10倍楽しくなる 音楽ミステリー・ツアー」など、様々なテーマで聴衆にクラシック音楽の世界への扉を開いています。これらの活動を通じて、萩谷由喜子氏は日本の音楽界において、評論、研究、普及という多角的な視点から貢献を続けています。

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